Hyperledger Fabricは、Linux Foundation傘下のプロジェクト「Hyperledger」に属する、エンタープライズ向けのブロックチェーンフレームワークです。
パブリックチェーン(例:BitcoinやEthereum)とは根本的に思想が異なり、Fabricは「企業間の信頼と協調」を前提とした許可型(Permissioned)ブロックチェーン</strongとして設計されています。
一般的なブロックチェーンが「誰でも自由に参加できる」ことを重視するのに対し、Fabricでは「信頼できる組織のみに参加を限定し、合意形成やデータ共有を効率的に行う」ことが主目的。
この構造は、金融、サプライチェーン、医療、行政などのリアルな業務運用に即したブロックチェーン技術として、多くの実績を積み重ねています。
Fabricが持つ“5つの鍵”──他チェーンとの決定的な違い
Fabricを他のブロックチェーンと差別化する、象徴的な特長は以下の5つです。
- 許可型設計:参加ノードを明確に制御でき、PKIベースで身元確認が可能。
- チャネル構造:1つのネットワーク内で、複数の“独立したプライベート空間”を持てる。
- モジュール構造:合意アルゴリズム、スマートコントラクト言語、ストレージなどを柔軟に差し替え可能。
- トークン不要:暗号資産を持たず、取引に手数料やガス代が発生しない。
- 高性能:“実行 → 順序 → 検証”の独自アーキテクチャにより、スループットと拡張性を両立。
なぜ企業・行政から支持されているのか?
Fabricの魅力は、単に「ブロックチェーンである」ことではありません。
むしろその逆で、「ブロックチェーンらしさを抑え、業務で本当に使える設計にしている」ことが最大の強みです。
たとえば、Ethereumのようなパブリックチェーンでは、あらゆる取引が全世界に公開されます。
一方、Fabricはチャネルやプライベートデータ機能により、“見せるべき相手にだけ情報を共有する”ことが可能。
この設計思想こそが、B2B取引や行政手続きの文脈で重要視されているのです。
パブリックチェーンとの比較表
項目 | パブリックチェーン(例:Ethereum) | Hyperledger Fabric |
---|---|---|
参加条件 | 誰でも自由に参加 | 許可された組織のみ |
取引の公開範囲 | 全世界に公開 | チャネルごとに制限可能 |
スマートコントラクト | Solidity(専用言語) | Go / Java / Node.js(汎用言語) |
暗号資産 | ガス代・トークンが必要 | 暗号資産なしで運用 |
適用領域 | Web3 / DApps / 投機 | 企業間取引 / 業務DX / 政策 |
Fabricが活躍している分野
現在、Hyperledger Fabricは以下のような領域で導入が進んでいます。
- 食品の原産地トラッキング(例:Walmart)
- ダイヤモンドの真贋証明(例:Everledger)
- 貿易書類の共有(例:香港トレードファイナンスプラットフォーム)
- 政府主導の全国DLTネットワーク(例:中国BSN)
単なる実証実験にとどまらず、実用・運用フェーズに入っている点がFabricの評価を高めています。
なぜ「順序 → 実行」ではダメだったのか?
従来のブロックチェーン、特にEthereumやBitcoinでは、すべてのノードが同じ順序で、同じ内容のトランザクションを逐次実行します。
この方式はシンプルですが、スケーラビリティの限界やネットワークの無駄な負荷を招きます。
実際、Ethereumではネットワークが混雑すると取引が数分〜数十分遅延し、ガス代が高騰する現象が頻発しています。
そこでHyperledger Fabricは、「実行 → 順序 → 検証(Execute-Order-Validate)」というまったく新しいアーキテクチャを導入しました。
Execute → Order → Validate──3段階で支える性能と柔軟性
Fabricにおける取引処理の流れは以下のように構成されます:
- Execute(実行・エンドース)
クライアントが送信した取引提案は、事前に選ばれたピアノード(Endorser)によって実行され、その結果が「提案書」として返却されます。
この段階では、まだブロックチェーンには記録されません。 - Order(順序付け)
各エンドースメント結果を受け取ったクライアントは、それらを集約してOrdering Serviceに提出。
ここで、複数の取引が順序付きのブロックとして構成され、ネットワーク全体に配布されます。 - Validate(検証・コミット)
最後に各ピアがこのブロックを受信し、エンドースメントポリシーとの一致や二重実行の有無を確認。
問題がなければ、ブロックを台帳に記録(コミット)します。
この方式が生む3つの革新
- 並列実行による高速化:取引は複数のピアで同時にエンドースでき、全ノードで逐次実行する必要がない。
- 柔軟な合意設計:「誰が承認すれば正当な取引か」を組織間で定義できる(例:A社とC社の承認が必要)。
- アプリケーション依存性の低減:順序処理と検証処理が分かれているため、スマートコントラクトの論理やバグがネットワーク全体に波及しにくい。
モジュール構造で“自分たちのFabric”を構築可能
Fabricは構成要素がすべてプラグイン可能なモジュール設計になっています。
コンポーネント | 選択可能な例 | 補足 |
---|---|---|
合意アルゴリズム | RAFT / SmartBFT / Kafka(非推奨) | 要件に応じてCFTやBFTを選択可能 |
スマートコントラクト | Go / Java / Node.js | 既存エンジニアスキルを活かせる |
データベース | LevelDB / CouchDB | フルテキスト検索やJSON構造対応も可能 |
ID管理 | Fabric CA / 外部CA | PKIベースの証明書管理に対応 |
パフォーマンスにも直結する設計思想
この「EOV」モデルは、単に理論的に優れているだけでなく、実運用時の処理速度・負荷分散・障害耐性にも寄与します。
一例として、実験環境下では数千TPS、低遅延(数百ミリ秒以下)のネットワークが構築可能であることが報告されています。
Fabricを“本番環境で使える技術”にしている最大の理由
Ethereumなどが「すべてのノードで同じ計算をする」構造なのに対し、Fabricは「役割に応じたノード構成」「柔軟なエンドースメント設計」「検証と実行の分離」によって、現実の業務フローにフィットする処理体系を実現しました。
この技術構造こそが、Fabricが金融機関・流通・行政など“本番環境”で採用される理由の中核なのです。
Fabricの本質は「見せない自由」にある
パブリックチェーンは「誰にでも見える」ことで透明性を確保しています。
一方で、企業や行政の現場では、“見せてはいけない情報”の方が圧倒的に多い。
そのため、従来型のブロックチェーンでは業務適用が困難でした。
Hyperledger Fabricは、そんな現実に向き合い、機密性・選択的共有・規制対応を前提に設計されたブロックチェーンです。
セキュリティは“つけたもの”ではなく、“最初から織り込まれている”──それがFabricの強さです。
チャネル:1つのネットワークに複数のプライベート空間
Fabricでは、1つのネットワーク内に複数のチャネル(≒独立したネットワーク)を構築できます。
たとえば、「A社とB社」だけが参加するチャネル、「A社とC社」だけが参加するチャネルなど、取引の内容や関係者に応じて台帳を分離できる仕組みです。
- チャネルA:A社・B社(B2B受発注)
- チャネルB:A社・C社(共同製品開発)
- チャネルC:A社・監査法人(監査用台帳)
これにより、「すべてを一元的に記録しつつ、誰に見せるかを分ける」という企業の現実に極めて近いモデルが実現できます。
プライベートデータ:見せたくない情報は見せない
チャネル内でも、特定の取引データを“完全非公開”にしたい場面は多くあります。
そのために用意されているのが「プライベートデータコレクション」という仕組みです。
この機能では、データ本体は関係者のみに直接伝送され、ブロックチェーン上にはハッシュ値のみが記録されます。
つまり、改ざん検知とトレーサビリティは維持しつつ、機密は守られる。
これは医療、法務、金融など、高度な秘密保持が求められる領域での利用を大きく後押ししています。
セキュリティ基盤:ゼロトラスト前提のID設計
Fabricでは、すべてのノードやユーザーがPKI(公開鍵基盤)に基づいた証明書を持ち、相互認証を行います。
許可型ネットワークである以上、「誰が何をしたか」はすべて明確にトレースでき、かつ改ざんできません。
加えて、FabricにはFabric CA(認証局)が組み込まれており、ユーザーやノードの登録・失効・ロール管理などを組織ごとに柔軟に運用可能です。
ID管理とアクセス制御が一体化しているため、ゼロトラスト時代にふさわしい構造と言えるでしょう。
ガバナンス設計:改変不可能なコンソーシアムルール
Fabricでは、「スマートコントラクトの更新」や「チャネル構成の変更」など、ネットワークに関わる重要な操作はすべて事前に定義されたポリシー(コンソーシアム合意)に従って行われます。
例えば「5社中3社以上の承認がなければ、新たなコードを展開できない」といった形で、民主的かつ改変不可能な運営ルールをスマートコントラクトの外側で構築できます。
規制対応にも強い「セキュアDLT」の本命
GDPR(EU一般データ保護規則)や、日本の改正個人情報保護法など、データの越境移転や処理に関する法規制が強まる中で、パブリックチェーンでは対応しきれない場面が増えています。
Fabricは以下のような理由で規制との親和性が高いとされています。
- 参加者・管理者が明確で、説明責任を果たしやすい
- データの保存範囲・保存期間・アクセス制御を設定可能
- プライベートデータ機能でセンシティブ情報を公開不要に
つまり、“ビジネスに使えるセキュリティ”を実現しているブロックチェーン──それがHyperledger Fabricの本質です。
「速いブロックチェーン」が必要とされる理由
ブロックチェーンは「信頼性」を提供する代わりに「遅い」という弱点を抱えがちです。
特にパブリックチェーンでは、全ノードが取引を検証し、順序づけ、実行するため、スループットは極端に低く、混雑時には遅延やコストの高騰が発生します。
しかし、ビジネスに求められるのは“信頼性とスピードの両立”です。
Hyperledger Fabricはこの課題に対し、技術構造と設計思想の両面から回答を出しています。
Fabricの高性能設計──EOVアーキテクチャの実力
前回紹介した「Execute → Order → Validate」モデルこそが、Fabricの高スループットを支えています。
この構造により、取引実行を一部のピアに限定でき、他のピアは順序決定やコミットに専念できます。
その結果、Fabricでは取引実行の並列化が可能となり、以下のような性能実績が報告されています:
- 4ノード構成、2チャネル:平均700〜1,200 TPS
- 高性能構成(8+ノード):最大3,000 TPS超(業種・構成依存)
- 平均レイテンシ:200〜600ms台(パブリックチェーンの1/10〜1/100)
もちろんこれは参考値ですが、取引数の多い業務にも耐えうる構造が実証されています。
チャネルと並列化の関係
Fabricのもう一つの性能強化要素が「チャネル」です。
チャネルとは、ネットワーク内の論理的な分割空間で、各チャネルは独立してブロックを生成・管理します。
このため、たとえば「チャネルAで取引が殺到していても、チャネルBの速度には影響しない」。
Fabricはスケールアウト型に近い性質を持っており、業務ごとにネットワークを分割しながら性能を維持できます。
オーダリングサービスの選択肢──RAFTとSmartBFT
Fabricは「Ordering Service」と呼ばれるブロック順序決定機構をプラグイン方式で構成できます。代表的な2つは以下の通りです:
方式 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
RAFT | 軽量・高速。Crash Fault Tolerant(CFT) | 障害ノードが“停止”するリスクに備える場合 |
SmartBFT | Byzantine Fault Tolerant(BFT)。悪意あるノードに耐性 | 高セキュリティが求められる大規模・機密業務 |
ユースケースに応じて「速さ」か「安全性」かを選べる設計は、他のブロックチェーンにはない特徴です。
実業務での導入実績──Fabricは「理論上の高速チェーン」ではない
Fabricは既に多くの実業務に導入されています。たとえば:
- Walmart:食品のサプライチェーン追跡(例:レタスの産地から店舗までの流通を2.2秒で検索可能に)
- 日本の大手製造業:品質管理記録、検査データ共有(サーバレス型Fabric構成)
- 銀行間の貿易書類共有:国をまたぐ取引の中で、BFT構成を活用した事例あり
これらの事例では、スピードと確実性が両立されたDLT基盤として、Fabricの特性が生きています。
Kubernetes・クラウド・軽量化──次のステージへ
FabricはKubernetesでの運用に完全対応しており、Helm Chartsによる自動展開も可能。
さらに、ARM64向けビルドや軽量コンテナの開発も進んでおり、IoTやエッジコンピューティングへの展開も現実的になりつつあります。
Fabricは単なる高性能ブロックチェーンではなく、「業務とともに進化するインフラ」として、あらゆる現場に対応する力を持っています。
「実証実験止まり」ではないブロックチェーン
多くのブロックチェーンプロジェクトが、PoC(概念実証)で止まっている中、Hyperledger Fabricはすでに実運用フェーズに入っている例が多数存在します。
その理由は明快です──現場が本当に求めていた設計であり、業務上の制約やニーズにぴったりとハマる技術だからです。
食品業界:Walmart × IBM「Food Trust」
最も有名な導入事例のひとつが、WalmartがIBMと共同構築した「IBM Food Trust」です。
このプロジェクトでは、食品(レタス・マンゴーなど)のサプライチェーン情報をFabricに記録。以下のような成果を上げました:
- 食品リコールの際、原産地を2.2秒で特定(従来は7日以上)
- 関係者間のデータ整合性が向上し、偽装やミスのリスクを大幅に低減
- トレーサビリティの可視化が、消費者への信頼につながる
この取り組みはすでに商用サービス化され、Nestlé、Unilever、Dole、Tyson Foodsなども参加。
つまり、Fabricはすでに「売上に貢献しているブロックチェーン」なのです。
ダイヤモンド業界:Everledgerによる真贋証明
高級商材の世界では、「正規品であること」の証明が不可欠です。
そこで注目されたのが、Fabricを基盤としたEverledgerの取り組み。
- 各ダイヤモンドに固有の鑑定情報(カラット、原産地、鑑定書番号など)を登録
- 顧客・保険会社・銀行間での「所有・鑑定情報」を共有し、盗難・偽装品リスクを回避
- サプライチェーン全体での「エシカル調達」の証明にも活用
Everledgerは今や、ワイン、アート、高級時計などにも展開しており、高額資産のトレーサビリティ市場で地位を確立しています。
国際貿易:香港「eTradeConnect」
香港では、銀行11行と貿易関係者が連携する形で、貿易書類のやり取りをブロックチェーン化しました。
使われている基盤はHyperledger Fabricです。
- 貿易信用状、インボイス、納品証明などを共通台帳で共有
- 処理スピードが従来の4〜8倍に向上
- 貿易詐欺・書類の重複申請を防止できるように
これはPoCではなく、実際に香港金融管理局(HKMA)の下で稼働中の本番ネットワークです。
その安定稼働とパフォーマンスが評価され、今では国際展開(中国、シンガポール、UAEなど)も進められています。
行政・公共:エストニア・中国BSNのような国家規模の導入
エストニアでは、電子政府システムにおいて一部の履歴証明にFabricを試験導入しています。
また、中国政府主導の「Blockchain-based Service Network(BSN)」では、Fabricが基盤DLTのひとつとして採用され、国全体のブロックチェーンサービス整備に利用されています。
政府やインフラ領域でFabricが選ばれる理由は、以下の通りです:
- 身元の確認されたノード運用が可能(許可型であること)
- プライベートデータ機能により、国家機密にも対応
- 複数の部門・国営企業がガバナンスを分担できる
Fabricは、国家レベルでの「統治と透明性の両立」という、極めて高い要件を満たせる数少ない選択肢です。
“何に使えるか”ではなく、“何が既に動いているか”
Fabricの本質は、「どんなことに使えるか?」ではなく、「実際にどこで動いていて、何を変えてきたか」という実績にこそあります。
それは決してWeb3や投機市場ではなく、“現実の経済”と“既存の業務”の世界です。
この違いこそが、Fabricがブロックチェーンの中でも“特異点”として評価される理由であり、社会実装に最も近いDLTと言われる所以です。
Fabricの“未踏地帯”──まだ本格展開されていない活用領域とは?
Hyperledger Fabricはすでに多数の商用事例を持っていますが、それでもまだ活かしきれていないニッチ領域が存在します。
ここでは、あまり語られてこなかった視点・技術・応用の「空白地帯」を掘り起こし、次なる成長領域の可能性を示します。
① Edge × Fabric──組み込み環境で動くブロックチェーン
通常、ブロックチェーンはサーバーやクラウドで動かすのが前提ですが、FabricはARM系CPU(Raspberry Pi等)への対応が進んでいます。
これは、製造業・物流・IoT分野にとって大きな意味を持ちます。
- 現場のセンサーや機器が自律的に台帳へ記録
- 中央集権サーバーを介さず、現場間でデータ整合性を担保
- オフライン時でもローカル記録し、後で同期
軽量コンテナやKubernetesへの対応が整ってきた今、“エッジ・ブロックチェーン”という未開の実装地が現実味を帯びています。
② オフチェーン連携による非公開AI連動
Fabricの強みのひとつは、スマートコントラクトに加えてイベント通知や外部サービス連携が得意なこと。
つまり、機密データをクラウド上のAIに渡さず、“判断はAI、記録はFabric”という構造が可能です。
例えば、以下のようなユースケースが構想できます:
- 工場の異常検知をAIが行い、結果と操作履歴のみをFabricに記録
- 医療画像はAIがローカルで診断、その診断根拠のログだけをFabricに保存
- 説明可能性と透明性を両立した“AI×DLT”の基盤構築
これは、Web3とはまた異なる視点の「企業IT × ブロックチェーン × AI」の融合形態です。
③ プライベート・スマートグリッドと電力取引
日本でも注目されている「地域マイクログリッド」や「P2P電力取引」の世界。
ここでもFabricが生きる場面は明確です。
- 電力の発電・消費履歴を改ざん不能な形で記録
- 再エネ証明・排出権のトレーサビリティにも対応
- 複数の電力会社間で柔軟にスマートコントラクトを運用可能
特に、規制と共存する必要があるこの分野では、パブリックチェーンよりFabricの方が現実的な選択となります。
④ 教育・学術分野での“非中央型成績証明”
大学の単位認定、資格管理、研究成果の記録など、中央集権型では柔軟性に欠ける仕組みが多数残っています。
これをFabricのチャネル構造で再設計することで、以下のような利点が得られます。
- 大学間での学歴・単位の相互認証
- データの公開範囲を設定できるため、本人・企業・機関ごとにアクセス制御
- 学習ログ・ポートフォリオの一元記録と自動評価
世界的には、MITやヨーロッパの大学がこの分野で試験運用を始めており、日本でも“ブロックチェーン型成績証明”の波は間もなく訪れます。
⑤ DePINではない“企業側の分散インフラ”としての可能性
最近はDePIN(分散型物理インフラ)としてIoTネットワーク構築が注目されていますが、Fabricはその「裏側のロジック層」としての活躍が期待されます。
- インフラ提供側の審査・ID管理・利用履歴管理
- トークン化を伴わない、安全志向な内部運用基盤
- 政府主導・企業主導のインフラ構築に最適
“分散×非投機”という真面目な領域において、Fabricは最も実装に近いフレームワークのひとつです。
「見えないFabric」こそが最強の活用形態かもしれない
最後に、最も面白い視点を1つ。Fabricは“裏方”として動くことで最大の価値を発揮します。
つまり、ユーザーにブロックチェーンだと気づかれず、透明に・正確に・信頼される台帳として存在すること。
未来において、「あらゆる業務の履歴が透明に記録されているが、誰もそれをブロックチェーンとは意識しない」──
そんな世界を支えるインフラこそ、Hyperledger Fabricなのかもしれません。