
Gridcoinは、「科学研究への貢献に報酬を与える」ユニークな仮想通貨です。
一般的なマイニングではなく、自分のPCを科学研究に貸し出すことでGRCを得られる仕組み。
「誰かの利益」ではなく、「人類全体の知の進歩」に貢献するマイニング。
そんな理想を、Gridcoinは現実の形にしています。
BOINCとの連携

Gridcoinは、BOINC(ボインク)という分散科学研究プラットフォームと連動しています。
BOINCは、世界中の研究者が使っているオープンソースの分散計算ネットワーク。
自宅PCを使って、たとえば以下のような研究に貢献できます:
- タンパク質の構造予測(Rosetta@home)
- 気象シミュレーション
- 銀河マップ作成(Milkyway@home)
- 癌研究(World Community Grid)
計算=報酬

Gridcoinでは、BOINC上での貢献度に応じてGRCが発行されます。
この仕組みを「Proof of Research(PoR)」と呼びます。
つまり、自分の時間や電力を人類の知的進歩に使い、その見返りとして仮想通貨を得る。
これまでの「計算競争」ではなく、「科学貢献」という新しい価値観が根付いています。
Gridcoinの報酬システムの仕組み
Gridcoinの魅力は、報酬配分が極めてユニークかつフェアである点。
新規発行されるGRCの約75%が、科学貢献者に分配されるよう設計されています。
エコなマイニング

GridcoinはPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を採用していません。
そのため、GPUやASICを使った「高電力型マイニング」は不要。
代わりに、自宅PCをBOINC経由で科学に役立てることで報酬が得られる。
エネルギー効率と社会貢献性を同時に叶えた設計です。
技術的な仕組み──どうやって科学貢献を測る?
Gridcoinは、貢献度を「マグニチュード」という独自の指標で可視化しています。
BOINCで得たクレジットを元に、オラクルがネットワークにデータを渡します。
マグニチュードのしくみ

- 各プロジェクトごとに割り当てられた「総マグニチュード」がある
- その中で、各ユーザーの貢献度に応じて按分される
- GRC報酬は「マグニチュード ÷ 4」が目安
これにより、研究の種類を問わずバランスよく貢献が評価されます。
オラクルとビーコン

オラクルとは、BOINCのデータを取得してブロックチェーンに反映する役割のノード。
ユーザーは「ビーコン」を登録し、自身のBOINCアカウントと紐づけることで、貢献が自動で記録されます。
この仕組みにより、科学的な貢献がブロックチェーン上で客観的に管理されるのです。
Gridcoinは誰が運営しているの?
Gridcoinには、企業も財団もCEOもいません。
完全にコミュニティ主導で運営されています。
その根幹を支えているのが、ブロックチェーン上のガバナンスポーリング(投票)です。
投票で決まるすべて

プロジェクトの追加・削除、開発方針、資金の使い方……
これらはすべて、ユーザー同士の投票で決定されます。
種類も豊富で、技術開発・ホワイトリスト管理・広報支援などの投票が用意されています。
Gridcoin財団の仕組み

ICOやプレマインは一切行われていません。
2014年の仕様移行時に失効したGRCを活用し、「Gridcoin財団」が形成されました。
この財団は、マルチシグウォレットで管理され、開発支援やコミュニティ提案の資金源として活用されています。
開発は?

GitHub上で活発にコード更新が行われており、世界中の開発者が参加。
どの改善提案もオープンに議論され、ユーザーの声が開発に反映される設計になっています。
まだ知られていないGridcoinの魅力
Gridcoinには、あまり語られていない面白い機能や制度もあります。
マニュアル報酬請求(MRC)

ステーキングをしていない人でも、自分の科学貢献分だけ報酬を受け取れる機能。
これにより、「仮想通貨に詳しくない人」でも、研究だけでGRCを手に入れやすくなりました。
サイドステーキング(寄付機能)

ステーキング報酬の一部を、Gridcoin財団や他の貢献者に自動で寄付する仕組み。
「GRCで社会に還元したい」という人には、ぴったりな設計です。
未来の展望

現在、Gridcoinの報酬設計は再構築が検討されています。
「恒常的なブロック報酬(CBR)」や「外部研究プラットフォームとの連携」など、拡張性の高い議論が進行中。
単なる仮想通貨を超えて、“研究支援エコシステム”へ進化しつつあります。
Gridcoinは誰のためのコインなのか
投資家にとって、Gridcoinは「社会貢献とリターン」が両立した通貨。
一般層にとっては「使わないPCが人類の役に立ち、報酬まで得られる」手軽な仕組み。
Gridcoinを語る3つのポイント
- エネルギー効率──PoWより圧倒的にエコ
- 科学貢献──研究が進めば人類の未来が変わる
- ガバナンス──誰もが意思決定に関われる民主性
「稼ぐ」ではなく「支える」

Gridcoinの本質は、投機ではありません。
あくまで、「科学に貢献した人が報われる社会」をつくるための仕組みです。
だからこそ、長期目線での価値に注目が集まっています。
結びに

Gridcoinは、「仮想通貨って、何に使えるの?」という問いへのひとつの答えです。
ただのブロックチェーンではない。
それは、知のインフラ。
そして、誰にでも参加できる「科学支援の輪」です。