
Celestiaは、「土台だけを作る」ことで、だれでも自由にブロックチェーンを作れるしくみです。
たとえば土地だけを用意して、家(アプリや通貨)は好きなように建ててくださいという感じです。
情報の保存に特化していて、スピードも安全性もばっちり支えてくれます。
これからの時代、たくさんのアイデアが生まれる“自由な大地”になるかもしれません。
Celestiaとは何か?──モジュラー型ブロックチェーンの登場

「新しい時代の土台になるチェーン」として注目されるCelestia(セレスティア)。
その特徴は、なんといっても“モジュラー型ブロックチェーン”という構造にあります。
これまでのブロックチェーン(例:ビットコイン、イーサリアム)は、
「コンセンサス(合意形成)」「実行(スマートコントラクト)」「データ可用性(記録)」を
すべて一つのチェーンで処理していました。
この“一体型”の構造は単純ですが、スケーラビリティや柔軟性に大きな限界を抱えていました。
Celestiaはその常識を覆し、「コンセンサス+データ可用性」だけに特化。
実行レイヤー(仮想マシンやDAppの処理部分)は、外部に任せるという設計を採用しています。
この分離構造により、アプリ開発者は自分専用のチェーンを簡単に作成し、
Celestiaのセキュリティとデータ提供能力を活用できるようになります。
つまりCelestiaは、「誰でもブロックチェーンを持てる」時代の“共通インフラ”を目指しているのです。
Celestiaの真髄──DASによる圧倒的スケーラビリティ

Celestiaが“Tier SS”と称される最大の理由の一つが、DAS(Data Availability Sampling)という技術です。
これは、全ノードが全データを保持しないという、従来の常識を覆す発想。
ブロック内のデータに「エラージャーコーディング」を施し、
一部のデータをサンプリングしてチェックするだけで、全体の正当性を保証できるのです。
この技術により、軽量ノード(スマホやラップトップ)でも参加可能になり、
結果としてネットワーク参加者が増えるほどスループットも安全性も向上するという構造が生まれます。
すでにCelestiaのメインネットでは、8MBブロック/6秒間隔=1.33MB/秒の処理が実現。
今後は128MBブロックを用いたテストも進行中で、「1秒あたり1GB」という桁違いのスケーラビリティを目指しています。
また、BBRというネットワーク制御アルゴリズムの導入により、
地理的に離れたノード間でも大容量ブロックを高速伝送可能にしています。
このDAS技術こそ、Celestiaが“従来型L1の限界”を根本から乗り越えた証なのです。
ロールアップとの連携力と、フルスタックの自由

Celestiaの第二の強みは、ロールアップとの圧倒的な親和性にあります。
EthereumのL2ロールアップは、処理を自分たちで行い、
データの可用性をEthereum本体に頼る構造ですが、これがコストの壁になっていました。
Celestiaは、より安価かつ安全にデータ可用性を提供できるため、
多くのL2・L3がCelestiaを“下支えの土台”として選び始めています。
代表例としては、Arbitrum Orbitや、Solana系のVMを使うEclipseなど。
また、Celestiaは開発者に「フルスタックの自由」を提供します。
好きなVM、好きなガバナンス、好きな手数料モデル──全て自分で決められる。
この柔軟性は、「すべてのDAppが独自チェーンを持てる」時代の到来を意味します。
他チェーンとの比較──Celestiaの異次元構造

Celestiaは、EthereumやPolkadot、Polygon Availといった他のL1/L2と比べても、
根本的にアーキテクチャが異なります。
- Ethereum:シャーディング実装に挑戦中だが、フルノード処理の限界は続く
- Polygon Avail:DAS未実装の段階で、Celestiaが先行中
- Polkadot:パラチェーンの枠制限や共通コンセンサスに依存
これに対し、Celestiaは「誰でも独自チェーンを立ち上げ、独立した意思決定ができる」という
真のソブリン構造を実現しています。
さらに、特定VMに依存せず、「信頼できる中立性(Credible Neutrality)」を持つことで、
多様な開発ニーズに対応できる柔軟性も備えています。
つまりCelestiaは、どこにも属さず、どこでも使えるという存在──
今後のWeb3インフラとして理想に近いポジションを築きつつあるのです。
未報道の切り口①──1GBブロックの未来とLazybridging構想

Celestiaが掲げる究極のビジョンは、「1秒あたり1GB処理」という前代未聞の世界。
2024年には88MB、128MBブロックのテストも行われ、
DAS技術による「ノード数が増えるほど安全性も処理能力も増す」構造が実証されつつあります。
これに加えて注目されるのが、Lazybridging(レイジーブリッジング)という構想です。
これは、Celestia上で複数のロールアップのステートを
ZK(ゼロ知識証明)を使って検証し合えるようにするというもの。
これが実現すれば、
ロールアップAで発行したNFTを、ロールアップBで直接使えるようになる──
そんな“チェーンの壁を感じさせない世界”が生まれます。
この機能の鍵を握るのが、CelestiaのネイティブトークンTIA。
将来的には、ロールアップ間ブリッジ、シーケンサー保証金、ガスなどにTIAを共通使用する構想もあります。
未報道の切り口②──非金融領域とDAO設計思想

Celestiaの活用は、DeFiやNFTだけにとどまりません。
むしろ、ソーシャルメディアやオンチェーンゲームなど、
高頻度で大量データを処理する非金融アプリにこそ向いています。
たとえば、分散型SNS「Lens」のようなサービスは、
将来的に「独自チェーン化」によるスケールが求められると指摘されています。
Celestiaは、そうしたアプリの裏方として支える“見えないインフラ”になれる存在。
また、ガバナンス思想も非常にユニークです。
- Celestiaは「トークン投票で全て決める」ことを重視しない
- 「rough consensus and running code(大まかな合意と動くコード)」を重視
- ユーザー(ライトクライアント)を“主権者”とみなす
この思想は、DAO=自治というより、信頼される公共財としての中立性を追求した結果です。
広がるエコシステムとCelestiaの未来

2023年末のメインネットローンチ以降、Celestiaには様々なプロジェクトが集まり始めています。
- Arbitrum Orbit:CelestiaをDAオプションとして統合
- Eclipse:Solana VM×Ethereumセキュリティ×Celestia DA
- Mina Protocol:zkアプリの基盤にCelestiaを採用
- Gravity Bridge、Caldera、Conduitなどの開発系インフラ
つまり、Celestiaは「主役」ではなく、「あらゆる主役を支える縁の下の力持ち」として機能しているのです。
これは投資家にとって、「Celestiaが伸びれば他も伸びる」というネットワーク効果につながります。
また、一般ユーザーも意識しないうちにCelestiaの恩恵を受ける──
そんな時代が、確実に近づいています。
「すべてのアプリが、専用のブロックチェーンを持つ時代」。
Celestiaは、その未来を裏から支える中立インフラです。
まだ始まったばかりですが、その構造は“インターネットのOS”に近い存在といえるかもしれません。