「ビットコインは分かるけれど、イーサリアムはよく分からない」。そんな人に向けて、高校生にも伝わる言葉でイーサリアムの全体像と魅力をやさしく解説します。
イーサリアムとは?ビットコインとの違いをやさしく整理する

「デジタルなお金」か、「アプリが動く土台」か
まず最初に押さえたいのは、イーサリアムはビットコインの「上位互換」ではなく、役割そのものが違うという点です。
ビットコインは、よく「デジタルな金(ゴールド)」と説明されます。価値を保存したり、遠くの相手に送金することに特化した仕組みです。
一方イーサリアムは、「お金の機能」だけでなく、その上でアプリやサービスを動かせるように設計されたプラットフォームです。たとえるなら、ビットコインは「金塊」、イーサリアムは「スマホ本体+アプリストア」に近いイメージです。
スマホのOSにたとえると見え方が変わる
スマホを思い浮かべてみてください。
本体(OS)があって、その上にゲームアプリやSNSアプリ、学習アプリなど、さまざまなアプリが動いていますよね。イーサリアムは、この「OS役」をブロックチェーンの世界で担っています。
その上に、NFTマーケットやDeFi(分散型金融)、ブロックチェーンゲームなど、たくさんのアプリが乗っている。「イーサリアム=アプリが動く土台」というイメージを持てると、ニュースの理解がいきなり楽になります。
ビットコインの基礎は、先にビットコインの紹介記事でおさらいしておくと、よりスムーズに読み進められるでしょう。
ウォレット1つで世界中のサービスにログインできる「共通ID」になるかもしれない

ウォレットは「財布」以上の役割を持っている
多くの人にとって、ウォレットは「取引所から仮想通貨を出し入れする財布」というイメージかもしれません。
しかしイーサリアムの世界では、ウォレットは「お金+身分証+鍵」が合体したデジタルIDのような役割も持っています。
ゲーム、NFTマーケット、DeFi、分散型SNSなど、多くのサービスはメールアドレスではなく、「ウォレットを接続(Connect Wallet)」して使い始めます。これは「Googleでログイン」「Appleでサインイン」のWeb3版と考えるとイメージしやすいです。
アカウントを増やさずに、サービス側を渡り歩く世界
ウォレットをひとつ持っていると、そのアドレスひとつで複数のサービスを行き来できます。
- ゲームで手に入れたアイテム(NFT)
- DeFiで預けたステーブルコイン
- 参加したコミュニティのトークン
これらがすべて、同じウォレットアドレスにひもづくイメージです。「サービスごとにアカウントを増やす」のではなく、「自分のウォレットという“軸”にサービスが集まってくる」世界観と言ってもいいでしょう。
高校生の感覚で言えば、「LINEアカウント」「ゲームアカウント」「塾のアプリ」などバラバラのIDを使い分けるのではなく、ひとつのIDでネットを歩き回るイメージです。この変化が、イーサリアムの面白いポイントのひとつです。
イーサリアムのガス代が高いと言われる本当の理由

「高い=悪」だけではないガス代の意味
イーサリアムに少しでも触れたことがある人なら、「ガス代(手数料)、高くない?」と感じたことがあるはずです。
たしかに、少額の送金やNFT取引には割に合わないタイミングもあります。しかし、ガス代は「世界中のノード(コンピュータ)に払っている利用料」という側面があります。
イーサリアム上で何か操作をすると、世界中のノードがそれを検証し、ブロックチェーンに記録してくれます。その計算コストに対して支払うのがガス代です。ユーザーが多く、取引が殺到するほどガス代は高くなる仕組みになっています。
「誰も使っていないチェーン」が安いのは当たり前
逆に言えば、ほとんど人が使っておらず、アプリも動いていないチェーンは、ガス代が安くて当然です。争って計算資源を取り合う必要がないからです。
ここで大事なのは、「ガス代が高い=そのネットワークが本気で使われている証拠」という見方もできる、ということです。
もちろん「高いままでOK」という話ではありません。イーサリアムは、安全性と分散性を重視したベースレイヤー(L1)はしっかり守りつつ、後で説明するL2(レイヤー2)という仕組みで速度と手数料を改善しようとしています。
高校生的に言うと、「人気テーマパークは入場料も高くて混むけれど、それだけ人が集まっている」というイメージに近いかもしれません。
NFT・DeFi・ステーブルコインとイーサリアムの関係

新しい「お金とデータのアプリ」がまず集まる場所
ニュースやSNSでは、「NFT」「DeFi」「ステーブルコイン」などの単語だけが先に有名になっている印象があります。
実はその多くが、最初はイーサリアム上のアプリとして生まれ、そこから他のチェーンへ広がっていった歴史を持っています。
- NFT:画像や音楽だけでなく、ゲーム内アイテムや会員証など「デジタル所有権」の表現に使われる
- DeFi:銀行のような窓口を通さずに、「預ける・借りる・交換する」を自動化した金融アプリ
- ステーブルコイン:ドルなど法定通貨に価値を連動させた、値動きの少ないトークン
こうした「新しいお金とデータのアプリ」が、まずテストされる土台としてイーサリアムが選ばれてきました。
イーサリアムを「原作」にすると他チェーンの理解も楽になる
もちろん今は、他のチェーンでもNFTやDeFiは動いています。しかし、イーサリアム版をひとつ理解しておけば、
- 「これはイーサリアムでいう◯◯の、もっと軽量な版だな」
- 「このチェーンは、イーサリアムの弱点(速度や手数料)を補う方向なんだな」
と、比較しながら情報を捉えやすくなります。
イーサリアムを「原作」、他のチェーンを「スピンオフ作品」のように見ると、仮想通貨ニュースがぐっと読みやすくなります。
より詳しくNFTだけを知りたい場合は、別記事のNFT入門記事もあわせて読んでみてください。
L2(レイヤー2)という「高速道路」で広がるイーサリアムの未来

本線(L1)は安全重視、高速道路(L2)はスピード重視
イーサリアムの課題である「遅さ」と「ガス代の高さ」に対する答えのひとつが、L2(レイヤー2)と呼ばれる仕組みです。
イメージとしては、
- L1(イーサリアム本体):安全性と分散性を重視した「幹線道路」
- L2:細かい取引をまとめて処理する「高速道路」
と考えると分かりやすいです。L2側でたくさんの取引を高速・低コストで処理し、その結果だけをL1に書き込むことで、全体として効率を上げようとしています。
ユーザー目線で見える変化
ユーザーから見ると、L2を使うことで、
- 送金やNFT取引の手数料が安くなる
- 処理速度が速くなり、待ち時間が短くなる
といったメリットがあります。
大事なのは、「ベースの安全性はイーサリアムに守られつつ、日常的な操作はL2で快適にする」という二階建て構造を目指している点です。
高校生の生活で言えば、「家から学校までは混む国道だけど、途中からバイパス(L2)に乗ることで時間短縮する」ようなイメージです。
少額で体験する「次のインターネット」のチケットとしてのETH

価格より先に「体験」に使ってみる
ここまで読むと、「で、イーサリアム(ETH)は結局買ったほうがいいの?」という疑問が出てくるかもしれません。
結論としては、大金を投じる必要はなく、少額で「体験費」として使ってみる価値があるという立ち位置です。
いきなりチャートとにらめっこするよりも、
- 数千円〜1万円だけETHを買ってみる
- ウォレットを作って、L2やテストネットで簡単な操作を試してみる
- 安いNFTを1枚だけ「記念品」として買ってみる
といった体験をするほうが、はるかに理解が深まります。
「情報の外野」から一歩だけ中に入ってみる
実際に触ってみると、
- ウォレットでログインする感覚
- トランザクションを送ってから承認されるまでの流れ
- ガス代がどのように発生するのか
といった部分が、生きた感覚としてつかめます。
イーサリアムを少額で体験することは、「次のインターネットがどんな方向に進んでいるか」を肌で感じるチケットだと考えてみてください。
投資として本格的に関わるかどうかは、そのあとじっくり考えれば十分です。
イーサリアムを知っているとニュースが読みやすくなる理由

「なんとなくすごそう」から一歩抜け出す
最後に、「イーサリアムを理解しておくと何が得なのか」を整理しておきます。
これからのニュースでは、
- 企業がイーサリアム上でポイントシステムを構築
- 政府がイーサリアムを使った証明書を実験
- 新しいゲームがイーサリアム互換のL2でリリース
といった話題が増えていくでしょう。
そのたびに「なんかブロックチェーンすごそう」で終わるか、「あの“アプリの土台”の話だな」と理解できるかで、情報の解像度は大きく変わります。
「距離を取る」にも、知っておいた方がいい教養
仮想通貨やWeb3に深く関わらない選択も、もちろんアリです。それでもイーサリアムの基本を知っておくと、
- 怪しい案件を見抜きやすくなる
- 本当に意味のあるニュースだけを拾いやすくなる
- 将来、自分や子ども世代が関わるときの「土台知識」になる
といったメリットがあります。
「よく分からないから怖い」ではなく、「分かったうえで距離を決める」ための教養として、イーサリアムを押さえておく価値は十分にあるでしょう。
ビットコインが「お金の新しい形」だとしたら、イーサリアムは「インターネットの新しい形」です。高校生のうちからでも、その輪郭だけでも知っておくことで、これからのニュースや社会の変化を、自分ごととして考えやすくなります。この記事をきっかけに、「イーサリアムって、意外と身近なテーマかもしれない」と感じてもらえたらうれしいです。