「仮想通貨ってもうオワコンでしょ?」。SNSやニュースでそんな言葉を見てモヤっとしたことがある人向けに、バブルが終わった部分と、まだ終わっていない役割を整理しながら、自分にとってのちょうどいい距離感を一緒に考えていきます。

仮想通貨「オワコン論」ってそもそも何を指しているのか

まず整理しておきたいのは、「オワコン」という言葉がだいぶ雑に使われているということです。
「価格が下がったからオワコン」「前みたいに派手に儲からないからオワコン」「ニュースで取り上げられなくなったからオワコン」……。どれも似ているようで、実は指しているものが違います。
高校の部活で、「この部活もう終わってるよね」と言いながらも、毎日ちゃんと練習している人がいる、みたいな状況に近いです。“盛り上がりのピークが過ぎた”ことと、“存在価値がゼロになった”ことは別ですよね。
仮想通貨も同じで、
- 「投機ショーとしての盛り上がり」がオワコンなのか
- 「技術としてのブロックチェーン」がオワコンなのか
- 「自分にとっての投資対象」としてオワコンなのか
この3つをごちゃ混ぜにしてしまうと、判断を誤ります。この記事では、まず「社会全体としてのオワコン感」がどこから来ているのかを分解し、そのうえでまだ残っている“役割”と、自分の距離感を一緒に設計していきます。
なぜ「仮想通貨オワコン論」がここまで広まったのか
次に、「なんでこんなにオワコンオワコン言われるようになったのか」を見ていきます。ここは感情ではなく、構造の問題として冷静に整理しておきましょう。

価格バブル崩壊と「一発逆転物語」の終焉
多くの人が仮想通貨を知ったきっかけは、「短期間で数十倍」「◯万円から億り人」という一発逆転ストーリーでした。
しかしバブルが崩壊し、「握っていれば勝てる」みたいな単純なゲームは終わりました。チャートだけを見てノリで買っていた人たちは、大きな含み損を抱えたまま市場から退場しています。
その結果、「仮想通貨=人生逆転ガチャ」みたいな幻想が壊れたことで、「ああ、やっぱオワコンだったんだ」という空気が広がりました。実際には、「逆転ガチャがオワコンになった」のであって、技術そのものが消えたわけではありません。
プロジェクト乱立・スキャム多発が残した“焼け野原”
2020〜2022年ごろにかけては、新しいトークンやプロジェクトが雨後のタケノコのように生まれました。DeFi、NFT、GameFi、Move to Earn……と、毎月のように「次の波」が語られていました。
その中には本気の開発チームもいましたが、多くは短期的な資金集めや、実態の薄い「なんちゃってプロジェクト」でした。結果として、
- 買ったトークンがほぼ無価値になる
- プロジェクトが更新されず放置される
- 最初だけ話題になって、誰も覚えていない
という“焼け野原”の景色が、投資家の記憶に強く残っています。ここから、「どうせまた似たようなやつでしょ」という冷めた目線が生まれました。
税制・規制・世間の冷めた空気
日本では、仮想通貨は依然として「雑所得」扱いで、高い税率がかかります。「利益が出ても半分くらい税金で飛ぶんでしょ」と感じている人も多いはずです。
さらに、ニュースでは「詐欺」「マネロン」「ハッキング」などネガティブな文脈で語られることが多く、家族や同僚からも「まだやってるの?」と言われやすい環境があります。
こうした要素が積み重なり、“なんとなく触れちゃいけないもの”という雰囲気ができあがりました。その結果、詳しく調べていない人ほど「オワコン」という言葉だけを切り取ってしまうのです。
それでも“まだ終わっていない”3つの領域
ここまで読むと、「やっぱりオワコンじゃん」と感じたかもしれません。ただし、それは“ある側面”だけを見た評価です。
実際には、仮想通貨やブロックチェーンには、まだ終わっていないどころか、むしろこれから本格的に評価されていく可能性が高い領域がいくつかあります。ここでは、特に重要な3つを取り上げます。

① ビットコイン──価値保存と検閲耐性のレイヤー
ビットコインは、「短期で何倍狙うためのギャンブル」というより、“価値を逃がすための避難口”としての役割が強くなっています。
たとえば、
- 自国通貨がインフレで毎年価値を失っている国
- 政治的な理由で、銀行口座が凍結されるリスクがある人
にとって、「誰にも止められない・没収されにくい資産」というのはシンプルに強いです。高校生的に言うなら、「親や先生でも動かせない自分専用ロッカー」みたいなイメージに近いかもしれません。
② L1/L2インフラ──手数料とスケーラビリティの土台
イーサリアムや、その上に乗るL2(レイヤー2)チェーンは、「アプリを動かすための基盤」です。ここは、見た目の派手さはありませんが、
- 手数料をどこまで下げられるか
- どれだけ多くのトランザクションをさばけるか
という、インフラとしての勝負が続いています。
スマホでいうと、アプリそのものではなく「OS」や「通信回線」に近い存在です。派手さはなくても、動いていて当たり前の土台として、まだまだ技術競争が続いています。
③ 既存金融との接続(RWA・ステーブル)という接点
USDTやUSDCのようなステーブルコイン、そして「不動産」「国債」「株式」など現実の資産をトークン化するRWA(Real World Assets)は、
「ブロックチェーンの世界」と「今の金融システム」を橋渡しする役割
を持っています。
これが進むと、
- 海外のお金の流れがもっと見えるようになる
- 少額から分散投資しやすくなる
- 銀行が閉まっている時間でも送金できる
といった変化が起きます。このあたりはすでに水面下で進んでいて、表のニュースには出にくい部分です。
AI時代に本当に“オワコン化”していくのはどのレイヤーか
次に、「AIが強すぎる時代」において、本当に厳しくなっていくのはどのあたりなのかを整理します。ここを間違えると、努力の方向を誤ります。

情報優位性だけで勝つトレードの限界
かつては、「誰よりも早く情報を拾えた人」が有利でした。SNSの情報、海外ニュース、オンチェーンデータ……。しかし今は、こうした情報はAIやボットが秒単位で処理できる時代です。
人間一人がスマホ片手に頑張って情報を追いかけても、
- 24時間休まず動き続けるボット
- 膨大なデータを一気に分析するAI
にはまず勝てません。「情報の早取りゲーム」だけで勝ち続けるトレードは、AI時代にはかなりオワコン寄りの戦い方になっていきます。
実需ゼロの“なんちゃってトークン”が消える理由
AIを使えば、ホワイトペーパーやサイト、Xの投稿を「それっぽく」作ること自体は簡単です。逆に言うと、「それっぽい見た目」のハードルはどんどん下がります。
そうなると、
- 中身のないホワイトペーパー
- コピー&ペースト感のあるロードマップ
はすぐに見抜かれます。むしろ、AIがあるからこそ、「本当に使われているか」「誰が使っているか」といった実需の部分がより重要になります。
コミュニティだけで支えようとするプロジェクトの行き着く先
「コミュニティが強いから大丈夫」という言葉もよく聞きますが、コミュニティは魔法ではありません。価格が下がり続ければ、どんなコミュニティも疲れていきます。
AI時代には、マーケティングやSNS運用も自動化しやすくなるため、「盛り上がっているように見せる」こと自体は簡単になります。だからこそ、
「コミュニティがある」ではなく、「何を一緒に育てているコミュニティなのか」
が問われます。中身のない「ノリだけ銘柄」は、ゆっくりと忘れられていくでしょう。
「オワコン」と「自分がもうやらない」は別物だという整理
ここまでの話を踏まえると、大事なのは「世間的なオワコン感」と「自分がやるかどうか」を分けて考えることです。

社会の評価と、自分の目的は必ずしも一致しない
たとえば、あるゲームが「もう流行ってない」と言われていても、自分にとっては「友達との大事な思い出」なら、その人の中ではまだ現役です。
仮想通貨も同じで、
- 老後のための一部リスク資産として持つのか
- 短期トレードで日銭を稼ぎたいのか
- 技術として追いかけていたいのか
目的によって、「オワコンかどうか」の判定は変わります。自分の目的がズレたまま続けていると、ストレスだけが溜まるので要注意です。
「やめる」は負けではなく、戦略的撤退
もう一つ大事なのは、「やめる=負け」ではないということです。部活でも、塾でも、仕事でもそうですが、環境や自分の目的が変われば、距離を置く選択をするのは自然なことです。
仮想通貨も同じで、
- 今の生活やメンタルに明らかに悪影響が出ている
- 他に優先したい目標(資格、仕事、家族)がある
なら、「一旦やめる」「BTCだけ残して他は撤退する」という決断は、むしろ賢い選択です。ここから先は、その「距離の取り方」を具体的に見ていきます。
個人投資家が取りうる4つのスタンス
では、個人としてはどんな立ち位置を取れるのか。ここでは、代表的な4つのスタンスに分けて整理します。
① 完全撤退──「自分には向いていない」と決める選択
もっともシンプルなのは、「自分には合わない」と認めて完全撤退するパターンです。
こんな人にはおすすめです。
- 値動きが気になって仕事や勉強に集中できない
- 含み損を見ると、メンタルが大きく上下してしまう
- 本当は他にやりたいことがあるのに、チャートを見て時間を溶かしている
「向いていない場から降りる勇気」は、長い人生で見ればプラスになることが多いです。
② ビットコイン+数銘柄に“骨”だけ残す
次は、「全部はやめないけれど、骨だけ残す」というスタンスです。
具体的には、
- ビットコイン+イーサリアム
- +自分が本当に調べた1〜2銘柄
くらいまで絞り、金額も「総資産の◯%まで」と決めてしまう形です。情報を追う時間もかなり減らせるので、他のことに集中しやすくなります。
③ テーマ絞りの研究者モードで少額継続
「オワコン論はわかるけど、それでも技術として追いかけたい」という人向けのスタンスがこれです。
たとえば、
- 「AI×仮想通貨」だけを追う
- 「RWAとステーブル」だけを追う
といった形でテーマを絞り、「研究費として許せる額だけ」を毎月少しずつ投じます。高校生で言えば、「この教科だけはガチで極める」みたいな感覚に近いです。
④ 完全ROM勢として“観察だけする”
最後は、あえて一切お金を入れず、「観察だけする」というスタンスです。チャートやニュース、オンチェーンの動きをウォッチしつつ、
- どんなプロジェクトが残っていくのか
- どんな人がやられて、どんな人が生き残るのか
を、外側から見る立場です。
お金を入れないからこそ、冷静に学べるというメリットがあります。将来、仕事でWeb3領域に関わるときにも、この観察経験は生きてきます。
自分はどこに立つか──チェックリストで決める距離感
ここまで読んだら、「自分はどのスタンスを取るのが良さそうか」を具体的に決めていきましょう。

年齢・収入・家族構成から見た“仮想通貨の許容量”
まずは、数字ベースでざっくり線を引きます。
- 独身・貯金もそこそこある → 仮想通貨は総資産の◯〜◯%まで
- 結婚予定・住宅ローン検討中 → 仮想通貨は「なくなっても生活に影響しない金額」まで
- 子どもあり → 教育資金と生活防衛費は別で確保したうえで、余剰の一部だけ
「何%までなら、全部ゼロになってもギリ許せるか」を、紙に書き出しておくのがおすすめです。
感情の揺れ方で分かる「距離を取ったほうがいい人」
次に、大事なのがメンタル面です。以下のうち、いくつ当てはまるかチェックしてみてください。
- 価格が気になって、授業・仕事・勉強中についチャートを開いてしまう
- 含み損を見ると、イライラして周りに当たってしまう
- 「損を取り返すまでやめられない」と感じている
これらが多いほど、いったんポジションや金額を減らして距離を取ったほうがいいサインです。仮想通貨に限らず、感情が大きく揺れる投資は長続きしません。
今日決めるべきことを1行で書き出す
最後に、今日この記事を読み終わったタイミングで、次のどれかに近い「1行のルール」を自分の言葉で書いてみてください。
- 「ビットコイン+イーサだけを、総資産の◯%までにする」
- 「一旦すべて売却して、1年間は完全ROM勢になる」
- 「AI×仮想通貨のテーマだけ、月◯円まで研究費として続ける」
“なんとなく続ける/やめる”を卒業して、自分の頭で決めたルールを持つ。それだけでも、あなたと仮想通貨との距離感は、かなり健康的なものに変わっていきます。
まとめ:「仮想通貨はオワコンか?」という問いは、実は「投機ショーとしてのピークは過ぎたけれど、技術や一部の役割はまだ終わっていない」というグラデーションの話です。大事なのは、世間の空気に流されることでも、逆張りで信者になることでもなく、自分の人生設計の中で、どの距離感なら納得して付き合えるかを静かに決めること。そのための材料として、この1本が少しでも役に立てばうれしいです。