「DOGE」「SHIB」「PEPE」みたいなミームコインは、たまに火山みたいにドカンと噴火することがあります。けれど、それは「運ゲー」で片づけていい話ではありません。この記事では、過去のミームコインの噴火条件を整理しつつ、AI時代にどう距離を取ればいいかを一緒に考えていきます。
ミームコインってそもそも何？DOGE・SHIB・PEPEをざっくり整理
ミームコイン＝「ネタだけど本物のお金が動く通貨」
まず押さえたいのは、ミームコインはただの冗談ではないということです。犬のアイコンやカエルのスタンプのような「ネタ画像」をモチーフにしつつも、そこには本物のお金と欲望が集まる仕組みがあります。
高校生でいえば、「クラスのノリで作ったネタ動画が、なぜか全国でバズって広告収入がつきはじめる」ようなイメージに近いです。笑い話のようでいて、急に「金の話」に変わります。
DOGE・SHIB・PEPEはどこが違うのか
ざっくり言うと、DOGEは“元祖ネタ枠”、SHIBは「DOGEのフォロワー兼コミュニティ型」、PEPEは「完全にX（旧Twitter）時代のスピード勝負」といった違いがあります。
同じ「ふざけた顔をしたコイン」に見えても、どの人たちが、どの場所で、どんなノリで買い始めたかが違うため、チャートの動き方も全然違います。
なぜここまで人を惹きつけるのか
数字だけ見ると、「数万円が一瞬で数百万円になった」という話がゴロゴロ出てくる世界です。だからこそ、冷静さを失ってしまいやすい。
この記事では、値段の派手さに目を奪われる前に、「なぜそんなことが起こるのか」という構造を一度分解してみます。これは大人だけでなく、高校生にも必要なお金のリテラシーだと考えています。
DOGE・SHIB・PEPEが「バズった瞬間」と「勝った人」はそれぞれ違う
時代背景：コロナ給付金・ゼロ金利・AIバブル
DOGEが話題になったタイミングには、コロナ禍で人が家にこもり、給付金や暇な時間が一気に増えたという背景がありました。真面目な投資ではなく、「どうせなら面白いことをしたい」という空気が強かった時期です。
SHIBやPEPEが盛り上がったときも同じで、株やビットコインなどの王道投資だけでは満たされない人たちのフラストレーションと退屈さが、ミームの噴火に火をつけました。
どのプラットフォームで火がついたのか
DOGEは主に大きな取引所と、イーロン・マスクの発言などで加速しました。SHIBはDEX（分散型取引所）とコミュニティの力が強く、PEPEはX（旧Twitter）での拡散スピードが異常でした。
つまり、「どこで騒がれていたか」によって、参加できた人・気づけた人が大きく変わります。ここを理解せずに「自分も同じように勝てる」と考えるのは、かなり危ない発想です。
一番得をしたのはどのタイミングで入った人か
当たり前ですが、最初期に気づいた人が一番得をします。けれど、多くの人が入ってくるのは「ニュースになった後」「YouTubeのサムネが派手になった後」です。
高校生の感覚で言えば、文化祭の出し物を企画した人と、バズった後に「俺もやりたかった」と言う人では、得られるものが違いますよね。同じように、ミームコインの世界でも“後から来た人”ほど不利になりがちです。
3つに共通していた“噴火条件”を地層で見てみる
社会の地層：真面目な投資に置いていかれた人の鬱屈
DOGE・SHIB・PEPEに共通していたのは、「真面目な投資の波」に乗れなかった人がたくさんいたことです。株やビットコインで勝っている人を横目に見ながら、取り残された感を覚えている層が一定数いました。
その鬱屈が、「もう真面目にやっても追いつけないなら、いっそバカバカしいものに全力で乗ってやる」という反動として噴き出します。これが社会の地層です。
技術の地層：誰でもトークンを作れて、すぐに売買できる環境
次に、技術の地層です。トークンを誰でも発行できるブロックチェーンと、すぐに売買できる取引所・DEXがなければ、ミームコインはここまで増えていません。
高校生向けに言えば、「誰でもアプリを公開できるアプリストア」があったからこそ、変なアプリも含めて大量に生まれた、という状況に近いです。プログラムが書ける人なら、「ネタコイン製造マシーン」になれてしまう時代です。
感情の地層：「もう真面目にやってられん」というバカバカしさの爆発
最後が感情の地層です。SNSには常に、疲れ・不安・退屈・怒りの感情が流れています。その中で、犬やカエルのスタンプにお金が集まっていくのは、ある種の「反抗」でもあります。
「きれいごとな経済ニュースなんて知らん。これぐらいぶっ飛んだ方が夢があるだろ」というムードが、ミームコインの爆発力を支えています。この3つの地層がそろうと、火山のマグマが溜まっていくように、“噴火条件”が整っていきます。
AI時代でも変わらない条件と、確実に変わるポイント
AIがミームやトークンを量産しても、人間の「欲」と「退屈」は変わらない
これからは、AIが自動でミーム画像を作り、トークンを発行し、宣伝文をバラまく時代になります。すでにその気配は出てきています。
ただし、どれだけ技術が進んでも、「一発当てたい」「退屈から抜け出したい」という人間の感情は変わりません。むしろ選択肢が増える分だけ、「どれを選べばいいかわからない」迷子が増えます。
AIとボットだらけの相場で、個人が不利になる場所
AIがトレード戦略を組んだり、自動で売買したりする環境が整うと、情報スピード勝負はますます不利になります。人間の指でスマホをタップしている間に、AI同士が何百回も売買しているかもしれません。
この領域で「自分も同じゲームができる」と考えるのは、かなり分の悪い賭けです。どこまでが「観察するだけにしておくべき場所」なのかを、はっきり線引きする必要があります。
AIミームコインに触る前に決めておくべき3つのルール
- メイン資産の○％以上はミームに入れないと決める
- 「AIが作ったからすごい」ではなく、誰が得をする設計かを一度疑う
- チャートではなく、自分の時間とメンタルへのコストもセットで考える
こうしたルールを持たずにAI時代のミームに飛び込むのは、ルールのわからないスポーツの試合に、いきなり審判なしで参加するようなものです。
「次のPEPEを当てる」より“構造を観察して楽しむ”発想
「一次情報を握っていない個人」が入るとほぼ負けるレイヤー
ミームコインの初動には、開発者、インフルエンサー、初期コミュニティなど、情報のスタート地点に近い人たちがいます。彼らは、どのタイミングで宣伝し、どこで売り抜けるかをある程度決めていることもあります。
一方、Xのタイムラインで初めてそのコインを見た人は、ほぼ「最後尾スタート」です。そのレイヤーで勝てるゲームなのかどうかを、一度立ち止まって考える価値があります。
SNSでバズった瞬間は、もう「観察モード」に切り替える
ニュース記事やYouTubeのサムネで派手に取り上げられたタイミングは、多くの場合「もうすでにかなり上がった後」です。ここから飛び乗るのは、かなり危険なジャンプになりがちです。
そこであえて、「今からは買わない。人の反応だけ観察する」と決めるのも一つの楽しみ方です。チャートではなく、コメント欄やSNSの空気の変化を見ていると、「人間ってこういうとき、こう動くんだな」と学べます。
ポジションゼロで「人間の反応」だけを眺めるという遊び方
お金を入れていないときほど、冷静に世界が見えることがあります。ミームバブルを「社会実験」として観察する、という距離感を持つのもアリです。
ポジションを持たない自由を手に入れると、情報に振り回されるストレスが減り、自分の時間を本当に使いたいことに回せるようになります。
自分の草・ミーム戦略を“地層ベース”で言語化する
自分はどの地層（社会・技術・感情）に賭ける／賭けないか
ここまで見てきた「社会・技術・感情」という3つの地層のうち、自分が理解しやすいのはどこかを書き出してみましょう。
たとえば、「社会の空気を読むのは得意だけど、技術的な部分は苦手」なら、技術要素が強すぎる案件にはそもそも触らない、という選択も立派な戦略です。
理解できない地層には「1円も入れない」と決める
「なんとなく良さそう」「インフルエンサーが推しているから」という理由だけでお金を入れると、後から冷静に振り返ったときに、自分でも説明がつかなくなります。
自分が説明できないものには1円も入れないと決めることで、損失だけでなく、メンタルの消耗も減らせます。これは投資というより、自分の人生のルール作りに近い感覚です。
具体的な上限・割合・時間のルールを一文で決める
おすすめは、次のような「一文ルール」を自分で作ってみることです。
- ミームコインは、資産の○％まで・○万円までしか入れない
- 「このニュースが出たら売る」「この期間を過ぎたら撤退する」と事前に決める
- 感情的になってきたら、一晩寝てから判断する
こうしたルールは、「勝つため」というより「壊れないため」のものです。（関連記事：ビットコインと草コインのリスクの違い）
高校生にも伝えたい、「ミームとどう付き合うか」の感覚
「一発逆転ストーリー」の裏側を見る目を持つ
高校生でも、SNSで「仮想通貨で人生変わりました」という投稿を見ることがあるかもしれません。けれど、その裏には、同じくらい、いやそれ以上の失敗談が隠れています。
華やかな成功だけを見るのではなく、「見えていない失敗」もセットで想像することが、お金と距離を取るうえでとても大切です。
SNSの「みんな勝ってる」はほとんど幻
クラスでテストの点数が良かった人だけが自慢し、悪かった人は黙っているのと同じで、SNSでも勝った人ほど大きな声で話し、負けた人は静かになりがちです。
だから、タイムラインが「勝ち自慢」であふれているように見えても、それが全体の真実だとは限りません。ここを勘違いすると、自分だけ取り残されているような錯覚に追い込まれてしまいます。
今は「お金のルールを学ぶ期間」と割り切る
高校生のうちは、無理にミームコインに手を出す必要はありません。それよりも、なぜ人がミームに群がるのか、どんな心理が働くのかを学ぶ方が、長い目で見て大きな価値があります。
「今は練習試合、本番はもっと先」くらいの気持ちで、お金や投資の情報に触れていくと、大人になったときに冷静な選択がしやすくなります。
ミームバブルに振り回されず、自分のペースで
DOGE・SHIB・PEPEは、どれも派手なチャートとストーリーを持っています。でも、その裏には、社会・技術・感情という三つの地層が折り重なった構造がありました。
これからAIがさらに進化し、新しいミームやトークンが次々と生まれても、「噴火条件」と「自分の距離感」をセットで考える姿勢さえあれば、振り回されずに付き合っていけます。
次のバブルを「当てにいく」かどうかより先に、自分のルールを一文で言語化する。その小さな準備こそが、AI時代のミームコインとの一番健全な付き合い方だと僕は思います。
