AIが当たり前になった世界で、仮想通貨は本当に必要なのでしょうか。ビットコインやステーブルコインは、10年後にどんな立ち位置にいるのか。この記事では、AI時代の「レイヤー構造」から仮想通貨の居場所を整理していきます。

AI時代でも仮想通貨は「どんなレイヤー」に残るのか

まず最初に整理したいのは、「AIが強くなった世界でも、仮想通貨がどのポジションに残り得るのか」という全体図です。
ここで使うキーワードがレイヤー(層)という考え方です。
この記事で使う「3つのレイヤー」とは
この記事では、仮想通貨まわりの世界をざっくり次の3つのレイヤーに分けて考えます。
- お金そのもののレイヤー(ビットコイン・ステーブルコイン など)
- インフラ・決済・スマートコントラクトのレイヤー(L1・L2・DApps など)
- テーマ投資・ガバナンス・コミュニティのレイヤー(ガバナンストークン・RWA など)
AIが強くなっていくほど、目立つレイヤーと裏側に隠れて「空気」のように残るレイヤーがはっきり分かれていきます。
高校の「学校システム」でイメージするレイヤー構造
高校生にもわかりやすくすると、学校も実はレイヤー構造になっています。
- みんなが直接触れるのは「授業」「定期テスト」「部活」
- その裏には「時間割を作る人」「成績を管理するシステム」
- さらに裏には「学校運営のルール」「自治体や国の方針」
生徒から見ると、時間割ソフトや自治体のルールは意識されにくいけれど、なくなったら学校が回りません。
仮想通貨も同じで、AIが前面に出てきても、裏側で「学校を動かすシステム」ポジションに残るレイヤーが必ずあります。
AIが強くなるほど「どの層が見えなくなり、どの層が残るか」
AIが人間より賢くなると、表側ではこんなことが起こります。
- 投資判断や銘柄探しはAIに丸投げされる
- 決済の最適ルート(どのチェーンで送るか)もAIが自動選択
- ユーザーは「結果」だけを見るようになる
このとき、人間の目線からは「どのチェーンを使っているか」はますます見えなくなります。
一方で、「ルールを決める層」「価値の逃がし先になれる層」「AIが財布として使う層」は、10年スパンで見ても残り続けます。
AIエージェントが「入口」と「財布」を握ると、お金とネットはこう変わる
次に、「AIエージェント」が当たり前になる世界をイメージしてみます。ここでは、AIが検索だけでなく支払いと契約の入口も握るようになる姿を描きます。

人間より先に情報を読む「AIの門番化」
すでに、YouTubeやXのタイムラインは「アルゴリズム」が選んだ情報が並んでいます。
これがもう一歩進むと、AIがこう振る舞うようになります。
- ニュース記事を全部読み、あなたに必要そうな要約だけを投げてくる
- 投資レポートを読み込んで、リスクだけを日本語で説明してくれる
- 英語のホワイトペーパーを先に読んで、「これは読む価値あり」と教えてくれる
つまり、人間が情報に触れる前にAIが一次選別をする「門番」になるわけです。
サブスク・光熱費・投資をAIが自動で見直す世界
AIがもう一歩進化すると、「読むだけ」ではなく「お金も動かす」ようになります。
- 電気代が高いときに、勝手にプランを切り替える
- 使っていないサブスクを自動で解約する
- 生活防衛費は円・ドル、余剰分だけビットコインや投信に回す
高校の部活で言えば、「練習メニューも出欠管理も全部やってくれるマネージャーAI」がいるイメージです。
このときAIが使う「財布」として、ステーブルコインやRWA(現実資産のトークン)が重要になってきます。
そんな世界で「通貨の条件」として残るもの
AIが勝手に動かす世界でも、通貨として残る条件はシンプルです。
- 止められにくい(誰かの機嫌で口座凍結されにくい)
- 世界中のサービスとつながりやすい
- AIが扱いやすいデジタルネイティブなお金である
この条件を満たす候補として、ビットコイン・ステーブル・一部のL1/L2がどう生き残るかを、ここから先で見ていきます。
ビットコインはAI時代にどんな意味を持つのか
「AIがこんなに強くなるなら、ビットコインなんていらないのでは?」という声もあります。
ここでは、ビットコインがAI時代に弱くなる部分とむしろ強くなる部分を分けて考えます。

価値保存手段としてのビットコインは強くなるのか、弱くなるのか
AIが暴走した世界を少しだけ妄想してみます。
- AIが超高速トレードで市場をかき回す
- AI企業が世界のトップを独占する
- 各国の金融政策もAIがシミュレーションしながら決める
そんなとき、人間側が欲しくなるのは「AIや国家の外側にある逃げ場」です。
ビットコインは、誰か一人のAIや国家がルールを書き換えづらい価値保存手段としてのポジションを持ち続けられるかがポイントになります。
AIがトレードを自動化する世界でも、“時間軸”では人間が決める
正直に言うと、短期トレードの世界では人間はAIに勝てません。
ミリ秒単位の売買、膨大な銘柄のスクリーニングは、AIの方が圧倒的に得意だからです。
でも、「10年持つかどうか」「人生設計の中でどこまでビットコインを許容するか」はAIではなく人間が決めるしかありません。
AIに任せる範囲と、自分で握るべき“時間軸のルール”を切り分けることが、ビットコインとの付き合い方で重要になっていきます。
国家・企業・AI vs 個人──それぞれから見たビットコイン
同じビットコインでも、立場が変わると見え方が変わります。
- 国家:資本流出のリスク、制御しづらい資産
- 企業・AI:ポートフォリオの一部としてのオルタナ資産
- 個人:最悪のときの「避難場所」、または長期分散投資の1ピース
AI時代は、こうした視点のズレがさらに大きくなります。
だからこそ、「国家やAIから見たビットコイン」ではなく「自分の人生から見たビットコイン」という軸で考えることが大事になってきます。
スマートコントラクトとAIが重なると何が起きるのか
次は、イーサリアムのようなスマートコントラクトとAIが組み合わさったときの世界を見ていきます。
ここは難しそうに見えますが、学校や家庭のイメージに落とし込むと理解しやすくなります。

電気代・サブスク・家賃をAIエージェントが自動で切り替える世界
スマートコントラクトは、「条件を満たしたら自動で実行される契約」です。
ここにAIが組み合わさると、例えばこんなことができます。
- 電気代が一定以上になったら、AIが自動で別プランへ乗り換える
- ほとんど使っていないサブスクをAIが検知して、解約の提案を出す
- 家賃や奨学金の支払いを、給料日に合わせて自動で分配する
これらはすべて、「AIが考える → スマートコントラクトが実行する」という役割分担で動きます。
オンチェーンで“決まったこと”が、人間の合意の土台になる
スマートコントラクトは、実行ログがブロックチェーンに残ります。
つまり、「いつ・だれに・いくら払ったか」が後からも確認できる世界です。
学校で言えば、部費の集金や遠足のお金が全部オンチェーンで可視化されるイメージです。
こうなると、「誰が決めたのか、どんなルールだったのか」が後から検証できる合意の土台として、ブロックチェーンが残り続けます。
オンチェーンであるべき領域と、さすがにやりすぎな領域
とはいえ、何でもかんでもオンチェーンに乗せればいいわけではありません。
- お金の流れや契約条件:できるだけ透明な方がよい
- 個人の成績・健康情報・人間関係のトラブル:むしろ守った方がよい
ここで大事なのは、「透明にすべき情報」と「守るべきプライバシー」を線引きする感覚です。
AI時代のスマートコントラクトは、この線引きをどう設計するかという倫理の問題とも深く結びついていきます。
L1・L2・ステーブル・RWA・ガバナンス…各レイヤーはどう“残る”のか
ここからは、代表的なレイヤーごとに「AI時代でも残りそうなポジション」を整理していきます。

L1/L2はユーザーから見て「空気インフラ」になる
ビットコインやイーサリアムのようなL1、ArbitrumやOptimismのようなL2は、AI時代にはますます「空気」的な存在になります。
ユーザーはどのチェーンを使っているか意識せず、AIが最適なルートでトランザクションを流すようになるからです。
ただし、空気だから価値がゼロになるわけではありません。
「どれだけ多くのAIエージェントやサービスの土台になっているか」が、そのチェーンの生命線になっていきます。
ステーブル・RWAはAIエージェントの“財布”と“証明書”
USDCやUSDTのようなステーブルコイン、証券や不動産をトークン化するRWAは、AIにとっての「財布」と「証明書」になりやすいレイヤーです。
- 日々の支払い:ステーブルコインで扱いやすく
- 長期の資産運用:RWAトークンで分散投資
- 本人確認や属性証明:オンチェーンの証明書
AIエージェントは、人間の代わりにこれらを組み合わせてポートフォリオを組みます。
「AIにとって扱いやすいデジタル資産かどうか」が、ステーブル・RWAの生存条件になっていきます。
ガバナンストークンは「AIと人間の共同意思決定ツール」になり得るか
ガバナンストークンは、プロジェクトの方針を決める投票権です。
AI時代には、ここに新しい問いが生まれます。
- AIエージェントに投票権を持たせていいのか
- AIが提案文を自動生成するガバナンスはありか
- 人間のコミュニティとAIが一緒に意思決定できるのか
もしこれがうまく機能すれば、ガバナンストークンは「AIと人間の共同意思決定のインターフェース」という新しい価値を持つ可能性があります。
AI株・テック株と仮想通貨──競合ではなく「役割分担」で見る
ここで一度、「AI株に全部突っ込んだ方がよくない?」という素朴な疑問にも向き合っておきます。
AI時代の投資は、テック株と仮想通貨をどちらが正しいかではなく、役割分担で見るのが現実的です。

AI株は「AIを作る会社への投資」、仮想通貨は「AIが使うインフラへの投資」
ざっくり言うと、AI株は「AIを作る・提供する会社への投資」です。
一方、仮想通貨の多くは「AIや人間が使うインフラ・ルール・通貨」への投資になります。
AI株=プレイヤー、仮想通貨=ルールとグラウンドというイメージで分けておくと、頭の中が整理しやすくなります。
AIが強くなるほど、インフラ側にもポートフォリオを割く意味が出てくる
AI企業が伸びるほど、その裏側で動く決済・データ・契約インフラの重要度も上がります。
すべてを株だけで持つのではなく、一部を「AI時代のインフラ」枠として仮想通貨に割り当てるという考え方も出てきます。
もちろん、それが正解というわけではありません。
ただ、「AIのプレイヤー」と「AIが走るグラウンド」の両方を意識することは、10年スパンのポートフォリオ設計では意味を持ってきます。
「どちらが0になるか」ではなく、「どこまで重ねるか」の発想へ
「AIが来たら仮想通貨はオワコン」「仮想通貨が勝ってAI株は終わり」──こうしたゼロサム思考は、長期投資の思考としては危険です。
むしろ、
- AI株:成長企業へのベット
- 仮想通貨:AI時代のインフラ・ルール・通貨へのベット
というふうに、「レイヤーの違い」として分けて持つ発想が大事になってきます。
個人投資家は、この再配置をどう観察すればいいか
最後に、「じゃあ自分はどうすればいいの?」という問いに答えるパートです。
ここでは、価格予想ではなく観察のものさしを3つだけ渡します。

価格より先に見るべき「役割変化」の3チェックポイント
AI時代の仮想通貨は、チャートだけ見ていても本質は見えてきません。
代わりに、次の3つを定期的にチェックすることをおすすめします。
- どんなAIサービス・企業が、そのチェーンやトークンを実際に使っているか
- そのプロジェクトが担っているレイヤー(通貨・インフラ・ガバナンス)は何か
- 規制や税制の変化で、そのレイヤーは強くなるのか、弱くなるのか
「どんな役割で使われているか」→「それがAI時代でも必要か」の順に見ることが、10年スパンの視点では大事になってきます。
「10年後も残っていてほしいもの」から逆算してポジションを決める
あなた自身が、10年後の世界に残っていてほしいと思うものは何でしょうか。
- 国家や企業のルールから独立した価値保存手段
- 誰でも参加できる透明なルールづくり
- AIに丸投げしすぎない、人間の意思が残る余地
こうした「残っていてほしいもの」を紙に書き出し、そこに重なるプロジェクトだけを少しずつ拾っていく。
この順番を逆にして「上がりそうだから好きになる」と、AI時代ほど振り回されやすくなります。
投機から“テーマ研究”に切り替えるための、月1ルーティン案
最後に、投機から「テーマ研究」にシフトするためのシンプルなルーティン案を置いておきます。
- 月に1回、「AI×仮想通貨」で気になったニュースを3つメモする
- そのうち1つだけ、自分の言葉でA4一枚ぶんまとめてみる
- ポジションを増やすのは、そのA4を3ヶ月連続で続けてからにする
このくらいのペースで十分です。
「すぐ買うために調べる」のではなく、「調べ続けるから結果的に買える」状態をつくる方が、AI時代の仮想通貨とは相性がいいと感じています。
AIが前面に立つ世界でも、仮想通貨のレイヤーはゼロにはなりません。
ただし、その居場所は確実に変わっていきます。
その変化を悲観でも楽観でもなく、自分の人生とレイヤー構造の両方から眺める視点を、この記事が少しでも届けられていたらうれしいです。