草コインで遊びたい。でも、前みたいに大きく負けて生活を崩したくはない。そんな矛盾した気持ちに対して、数字とルールを使って「どこまでなら許されるのか」を一緒に考えていく記事です。

なぜ人は「草コインで遊びたくなる」のか

まずは、「そもそもなぜ草コインで遊びたくなるのか」をちゃんと言語化しておきます。ここをスルーすると、どれだけルールを決めても同じパターンで失敗しやすいからです。
一発逆転ストーリーと「自分もワンチャン」心理
人が草コインに惹かれる一番わかりやすい理由は、一発逆転ストーリーです。
「数万円が数千万円になった」「学生のうちにFIREした」みたいな話は、マンガを読む感覚で気持ちよくなれます。高校生が「宝くじ当たったらどうする?」と盛り上がるのとほぼ同じです。
問題は、「すごいな」で終わらず、どこかで「自分もワンチャンあるかも」にすり替わることです。この瞬間から、冷静な投資ではなく、物語に乗っかるギャンブルになりやすくなります。
SNSが見せる「当たった人だけの世界」
XやYouTubeでは、当てた人・勝っている人の情報が圧倒的に多く流れてきます。アルゴリズムは、派手な結果・極端なストーリーを好むからです。
その結果、タイムラインだけ見ると「みんな爆益」「草コインは夢がある」世界に見えます。教室で、たまたま点数が高かった人だけが答案を見せ合っているようなものです。
失った人の声が届きにくい構造
逆に、大きく負けた人はあまり声を上げません。恥ずかしさもあるし、そもそもアカウントが消えていることもあります。「負けた人はその場から消える」構造があるので、実態よりも勝っているように見えてしまうのです。
このバイアスを理解しておくだけでも、「自分もワンチャン」の熱が少し冷めます。ここから先は、その冷めた頭で「どこまで遊ぶか」を考えていきます。
この記事でいう「草コイン」とは何か

次に、「この記事でいう草コインとは何か」をざっくり決めておきます。ここが曖昧だと、そもそも何に線を引いているのかがぼやけてしまうからです。
時価総額・出来高・上場先でざっくり線を引く
厳密な定義というより、「だいたいこのへん」という目安で考えます。
- 時価総額がかなり小さい(例:ランキング200位以下など)
- 出来高が少なく、大口が動くとすぐチャートが跳ねる
- マイナーな取引所やDEXのみ、上場先が限定的
こういった条件が重なるほど、そのコインは「草寄り」と見ていいでしょう。
テーマ銘柄・AI銘柄とのグレーゾーン
最近は「AI銘柄」「量子銘柄」「ゲーム系」など、テーマを名乗るコインも増えています。SOLやARBのようなメジャーどころと、よくわからない「AIトークン」の間にはグレーゾーンが広がっています。
このあたりは、自分の中で「ここから上は草ではない」ラインを決めておくのが大事です。
自分の中で「対象範囲」を決めておく
この記事では、ざっくりと
- 「なくなっても世界的には誰も困らないサイズ」のコイン
- ストーリーやノリで一気に資金が流入・流出しやすいコイン
を「草コイン」と呼びます。あなた自身も、ウォレットを眺めながら「これは草」「これはギリ草ではない」と線を引いてみると、この記事の内容がより実感を伴って読めるはずです。
「遊び」と「破滅」を分ける3つの軸(お金・割合・期間)

ここから、本題の「どこまでなら遊びで済むのか」を考えます。鍵になるのは、金額・割合・期間という3つの軸です。
① 金額──絶対額としての上限
まずシンプルに、「いくらまでなら最悪ゼロになっても生活が崩れないか」という視点です。
高校生なら「もしこのお金が全部消えたら、何ができなくなるか?」を考えるとイメージしやすいです。大人なら、家賃・食費・光熱費・交通費など、毎月の固定費を思い浮かべてみましょう。
② 割合──資産全体のうち何%か
次に、「資産全体のうち、草コインに何%を割くか」です。貯金100万円のうち1万円と、貯金20万円のうち1万円では、意味がまったく違います。
同じ金額でも、割合が変わるとリスクの重さも変わるという感覚を持っておくことが大事です。
③ 期間──“草で遊ぶフェーズ”を何年続けるのか
最後が「期間」です。ここでいう期間は、「ポジションの保有期間」というより、自分の人生の中で、草コインで遊ぶフェーズを何年続けるのかという話です。
- 独身のうちの2年間だけ、草コイン遊びOKにする
- 結婚したら草コインは卒業する
- 子どもが生まれたら、草予算を半分にする
こういった「いつ終わらせるか」のイメージがないと、気づいたら10年ずっと同じ遊び方を続けてしまうことがあります。
いくらまでなら“燃えてもいい”のか──金額と割合を数字で決める

ここから、少し生々しく「いくらまでなら許されるのか」を数字で考えていきます。大事なのは、気分ではなくルールで決めることです。
月収・貯金額から見た「本当に燃やしていい額」
ざっくりした目安として、次のような考え方があります。
- 生活防衛資金(家賃・生活費〇ヶ月分)は絶対に手を付けない
- その上で、「失っても人生プランを変えなくていい額」だけを草に回す
例えば、貯金が100万円で、生活防衛資金として60万円は動かせないとします。残り40万円のうち、さらに「最悪ゼロでも生活設計を変えなくていい額」を考えると、草コインに使えるのは数万円〜10万円程度に収まる人が多いはずです。
独身・共働き・子どもありで変わる“許されるライン”
同じ年収でも、立場が変わると「許されるライン」は変わります。
- 独身・実家暮らし:月収の5〜10%を草遊び予算にしても、大事故にはなりにくい
- 共働き・子どもなし:夫婦で合意できるなら、世帯の一部を遊び枠にしてもよい
- 子どもあり・住宅ローンあり:草枠は「年間いくら」など、かなり締めて考えるのが現実的
「自分の立場でこれを燃やしたら、本当に笑っていられるか」を一度真剣に想像してみてください。
資産の何%までを「草枠」にするか決める
もう一歩踏み込むなら、「資産の〇%まで」と割合で決めておくのも有効です。
- たとえば、「全体のうち草枠は最大3%まで」と決める
- 資産が増えたら、草に回す額も自動的に増える(逆もまた然り)
このようにしておくと、バブル期に気分で草枠を倍増させてしまうリスクを減らせます。
時間の使い方から「依存度」をチェックする

お金の額だけでは、「遊び」と「依存」は見分けきれません。もう一つの重要な指標が、時間の使い方です。
チャート・X・テレグラムに費やしている時間
一日の中で、どれぐらい草コイン関連の情報に触れているか、ざっくりでいいので思い返してみてください。
- 朝起きてすぐチャートチェック
- 授業の休み時間や仕事の合間にもXを更新
- 寝る前にテレグラムやディスコードを巡回
これらが積み重なって、「1日1〜2時間以上」になっているなら、お金以上に時間を溶かしている可能性があります。
「他のことが手につかない」状態の危険サイン
次のような感覚が出てきたら、依存度はかなり高めです。
- チャートが気になって、勉強や仕事に集中できない
- 部活や趣味の予定を、エアドロや上場時間のためにずらしてしまう
- 値動きで感情が大きく揺れ、イライラや落ち込みが増えている
高校生に置き換えるなら、「テスト前なのにずっとゲームのガチャ情報を追ってしまう」状態に近いです。自分で「ちょっとヤバいかも」と感じたら、それは十分な危険サインです。
時間を先にブロックして「これ以上追わない」を決める
依存度を下げるシンプルな方法は、先に時間をブロックしてしまうことです。
- 「1日30分だけ草コインタイム」と決めて、その時間だけ情報を見る
- 通知をすべてオフにして、自分からアクセスしたときだけ見る
- 週◯日は「草オフデー」にして、チャートを開かない
こうしたルールは、ビットコインとの距離感を決める記事などとも共通する考え方です。時間を守れるかどうかは、「遊び」と「依存」の境目を教えてくれます。
「どんな草で遊ぶか」の質を決める

同じ1万円でも、「どういう草コインで遊ぶか」で意味が大きく変わります。ここでは、遊び方の質について考えてみます。
インフル任せではなく「自分のチェック項目」を持つ
「このインフルエンサーが推してるから」「Xでバズってるから」だけで買うのか、それとも最低限のチェックをしてから買うのかで、学びの深さもダメージの受け方も大きく変わります。
完璧に分析する必要はありません。ただ、次のような簡単なチェック項目を3つほど持っておくだけでも違います。
- どんな人・チームが関わっているか
- どんなユースケース・物語を掲げているか
- ロックアップやトークン配布のスケジュールはどうなっているか
「勉強代」と「ただのギャンブル」の境目
草コインで遊びながら、「ブロックチェーンや市場の勉強もしたい」と思うなら、次のような姿勢が大切です。
- なぜ上がったのか・なぜ下がったのかを、自分なりに言葉にしてみる
- うまくいかなかったトレードの記録を残す
- 次は同じ失敗をしないためのルールを一つ足す
これらを何もしないなら、それは「ただのギャンブルとしての草」です。少額でも、学びに変えられるかどうかで価値は大きく変わります。
「これ以上は追わない銘柄」を自分で決める
最後に、あえて「どれだけバズっても追わない種類の銘柄」を決めておくのも有効です。
- 明らかにポンジ構造に近いもの
- 運営の顔がまったく見えない・過去のプロジェクトも不明なもの
- 自分が理解できない仕組みを「AIだからすごい」の一言で済ませているもの
「やらない」と決めるのも、立派な戦略です。
自分用「草コインルールブック」をつくる

ここまでの話をもとに、最後は「自分用ルールブック」に落としていきます。これがあるかどうかで、草コインとの付き合い方が一気に安定します。
買っていい条件/絶対に手を出さない条件を書く
まずは、次の2つを書き出してみましょう。
- 「草コインを買っていい条件」……例:月収の◯%以内/資産の◯%以内/上で決めたチェック項目を3つとも満たす、など
- 「絶対に手を出さない条件」……例:レバレッジ◯倍以上は禁止/ローン・借金・クレカ枠での購入は禁止、など
ここで大事なのは、感情ではなく「文章」でルールを書くことです。
ナンピン禁止ライン・損切りラインを数値化する
次に、ナンピン(買い増し)と損切りについてもルール化します。
- 「草コインに関してはナンピン禁止」でもいい
- どうしてもナンピンするなら、「下落◯%までに1回だけ」など回数を決める
- 損切りラインも「◯%下がったら潔く手放す」と数字で決めておく
数字で決めたルールは、感情に流されにくいというメリットがあります。
見直しタイミングと「破ったときのペナルティ」を用意する
ルールは作って終わりではありません。次の2つもセットで決めておきましょう。
- 見直しタイミング……例:年に1回、誕生日や新年にルールを更新する
- 破ったときのペナルティ……例:ルール違反をしたら3ヶ月草コイン禁止、など
さらに、ルールをノートやブログに公開しておくと、「まあいっか」で破りにくくなります。自分で自分を監督する仕組みを作るイメージです。
ここまで読んだあなたは、すでに「草コインで遊ぶなら、どこまでなら許されるのか」を真剣に考え始めています。その姿勢自体が、破滅から一歩距離を取るための大きな一歩です。
最後にもう一度だけ、静かに問いかけてみてください。
「自分の立場・人生計画を踏まえて、どこまでなら本当に笑っていられるか?」
その答えを言葉と数字で決めていくことが、草コインと「ちょうどいい距離感」で付き合うということなのかもしれません。