
ビットコインの積立投資は「夢があるが現実的にはどうなのか?」という疑問を多くの人が抱えています。本記事では、給与の5%を10年間ビットコインに積立投資した場合のシミュレーションをもとに、資産形成の可能性や家族での受け止め方について掘り下げていきます。
給与の5%を積立投資したらどうなる?

まずはシミュレーションの前提を明確にします。
年間426万円(2024年平均年収)の給与を受け取る会社員が、毎月の給与の5%(約17,750円)を2015年7月から2025年7月まで積立投資したケースを想定しました。
シミュレーションの条件
- 年間給与:426万円(月額355,000円)
- 積立額:月額17,750円(給与の5%)
- 期間:2015年7月~2025年7月(121カ月)
- データ:BTC/USD月末終値(CRYPTO取引所データ)
- 為替レート:1USD=140円で換算
この条件で毎月購入したBTCを累積し、2025年7月の終値で評価した結果を算出します。
10年間積み立てた結果は?

積立期間中に取得したBTCは約6.82BTC。2025年7月時点の価格(1BTC=118,187USD)で評価すると、約1億1,300万円の資産価値となりました。
総投資額は約214.8万円なので、リターンはおよそ52倍です。
結果のまとめ
項目 | 数値 |
---|---|
投資期間 | 2015年7月~2025年7月(121カ月) |
総投資額 | 2,147,750円 |
累積BTC数 | 6.81718BTC |
評価額(USD) | 80,570.32USD |
評価額(JPY換算) | 112,798,444円 |
リターン倍率 | 約52.5倍 |
この結果が示すもの
わずか5%の積立でも、ビットコインの成長によってここまでのリターンが得られる可能性があることが分かります。
しかし、これは過去10年間という特殊な相場環境がもたらした結果でもあります。
次章では、この投資を巡る家族のリアルな反応を紹介します。
投資に対するリアルな反応

ビットコイン積立を家庭で行うと、投資家本人だけでなく家族にも大きな影響があります。
実際に家族からよく聞かれる声を整理すると、「税金の不安」「生活への影響」「リスクに対する恐怖」の3つが多く挙げられます。
税金や確定申告の不安
ビットコインで利益が出ると、雑所得として課税されます。税率は最大55%になることもあり、確定申告の手間もかかります。
「投資で得た利益の半分が税金で消えるかも」と考えると、心理的な負担は大きいでしょう。
生活費への影響
「積立は生活費に影響しないのか?」という疑問も家族から出やすい声です。
投資が余裕資金で行われていない場合</span、家計を圧迫しやすくなります。特に子育て世帯では、教育費や住宅費とのバランスが課題になるでしょう。
価格変動への恐怖
ビットコインは大きな値動きが特徴です。
2018年や2022年のような暴落相場では、積立途中で元本割れする期間もあり、家族から「もうやめたほうがいいのでは?」という声が上がることも少なくありません。
こうした反応は「投資=一時的なギャンブル」と受け取られてしまうことが原因です。
次章では、こうした懸念の一つである税金・申告の問題をより具体的に掘り下げます。
税金・申告のハードル

ビットコインで利益を得ると、雑所得として総合課税されます。
給与所得と合算されるため、利益が大きいと累進課税で税率が上がり、最大55%の税負担となるケースもあります。
確定申告の必要性
給与所得者であっても、年間20万円を超える利益が出た場合は確定申告が必要です。
複数の取引所を利用している場合、年間取引報告書を集計し、自分で損益計算を行う手間が発生します。
節税のためにできること
一部では暗号資産専用の会計ソフトや税理士のサポートを利用する人も増えています。
また、長期保有で売却を分散することで課税額を抑える工夫も有効です。
しかし、こうした取り組みも知識や費用が必要で、家族の理解が欠かせません。
価格変動とメンタルの壁

ビットコインは過去10年間で大きな上昇を遂げた一方で、短期的な暴落を何度も経験しています。
2018年の下落局面では価格が約80%急落し、多くの投資家が不安を抱えました。
積立投資を続けるための視点
積立投資のメリットは、価格が安いときにも自動で買い続けられることにあります。
しかし、暴落時に「損をした」と感じて投資をやめてしまうと、長期リターンを逃してしまいます。
心理的な準備が重要
価格変動が大きい資産への投資では、最初にどれだけのリスクを受け入れられるかを明確にしておくことが大切です。
家族と一緒に「どの程度の下落なら耐えられるか」を話し合っておくと、暴落時の混乱を防げます。
家計と投資のバランスをどう取るか

ビットコイン積立は魅力的なリターンを生み得ますが、生活費とのバランスを欠くと破綻の原因になりかねません。
特に家族がいる世帯では、投資額の設定を慎重に行う必要があります。
生活防衛資金を確保する
まず前提として、半年分の生活費を現金で確保しておくことが重要です。
これがあることで、突発的な出費や収入減があっても、投資を続けられる安心感が得られます。
投資額は「余裕資金」で設定
積立額は、生活に支障が出ない範囲にとどめるのが原則です。
給与の5%という設定も、家計の状況によっては見直す必要があります。
家族と「どの程度なら続けられるか」を話し合っておくとよいでしょう。
相続・贈与に備える資産管理

ビットコインは、現金や預貯金と違って管理方法が特殊です。
秘密鍵や取引所のアカウント情報がなければ、家族は資産の存在すら気づけないこともあります。
資産リストを作成して共有
暗号資産を保有する場合、取引所・ウォレットの一覧とアクセス方法をまとめた資産リストを作成しましょう。
定期的にアップデートし、信頼できる家族に伝えておくことで、相続時の混乱を防げます。
贈与や相続税の準備
ビットコインも相続・贈与の対象になります。
評価額の把握や税務対策については、専門家に相談するのが安心です。
特に相続人が暗号資産に詳しくない場合、早い段階から備えておくことが大切です。
投資元本の約52倍

給与の5%を10年間ビットコインに積立投資したシミュレーションでは、投資元本の約52倍という驚異的なリターンが確認できました。
わずかな積立額でも、長期的な成長市場に投資することで大きな資産形成につながる可能性があります。
しかし“夢”だけでは語れない現実
今回の結果は過去のデータに基づくシミュレーションであり、将来を保証するものではありません。
価格変動のリスクや税金の負担、家族との合意形成、相続・贈与の課題など、現実的なハードルが数多く存在します。
家族と歩む投資戦略
成功する積立投資の鍵は、“余裕資金”で無理なく続けること、そして家族と資産の現状や方針を共有することです。
資産リストの作成や専門家への相談も、安心して投資を続けるための大切な一歩になります。
ビットコイン積立は大きな可能性を秘めていますが、それを現実の資産形成に変えるためには、リスク管理と家族との対話が欠かせません。
夢と現実のバランスを取りながら、未来への一歩を踏み出しましょう。