この記事では、まだ日本ではあまり知られていないものの、英語圏の仮想通貨コミュニティやインフルエンサー、ベンチャーキャピタルの間で話題になっているマイナーWeb3プロジェクトをご紹介します。
いずれも注目度が高いにもかかわらず、国内では情報が非常に少なく、知っているだけでも投資判断やプロジェクト分析において一歩リードできる内容ばかりです。

今回は以下のような基準で厳選しました。
- 時価総額5億ドル未満(できれば1億ドル以下)
- Binance未上場(優先)
- 英語圏で注目されているが日本語情報がほとんどない
- 主要チェーン(Ethereum/Solana/Cosmos/Polkadot)に対応
カテゴリ別に分けて、特徴や英語圏での評価、将来性とリスクをわかりやすく整理しました。
ではさっそく見ていきましょう。
DeFi(分散型金融)系 注目プロジェクト
Velodrome

Velodromeは、EthereumのL2「Optimism」上で展開されている分散型取引所(DEX)です。特徴は、Andre Cronjeが考案したve(3,3)トークンモデルを採用し、NFT化された投票エスクロー「veVELO」で長期の流動性提供をインセンティブ化している点です。
- カテゴリ:DEX(DeFi)
- 対応チェーン:Optimism(Ethereum L2)
- 時価総額:約5,000万ドル
- 上場状況:Binance未上場(DEX中心)
Crypto Twitterでは「Optimismの流動性ハブ」として支持されており、Delphi Digitalのレポートにも登場。今後、Baseや他のL2展開が期待されていますが、Optimism依存のリスクや競合との流動性争いには注意が必要です。
Kujira

Kujiraは、Cosmosベースの独自L1チェーンでDEXやレンディング、ステーブルコインなどを統合的に提供する「オールインワンDeFiプラットフォーム」です。かつてTerraの清算プロトコルからスタートした歴史があり、現在はUI/UXに優れた「リアル収益型DeFi」として再評価されています。
- カテゴリ:統合型DeFi
- 対応チェーン:Kujira(Cosmos SDK)
- 時価総額:約3,000万ドル
- 上場状況:Binance未上場(Krakenなどでは取引可能)
「誰でも清算に参加できる」思想に基づいた仕組みが話題。VC資金を使わずコミュニティ主導で発展中。流動性やネットワーク効果に課題がある一方、Cosmosエコシステムの代表的成功例として期待がかかります。
AI(人工知能)系 注目プロジェクト
Autonolas(OLAS)

Autonolasは、ブロックチェーン上で自律型AIエージェントを構築・共有・運用できるプロトコルです。エージェントはAIによる意思決定を行い、マルチチェーン上でタスクを自動実行。2025年にはエージェントのマーケットプレイス「Pearl」の公開も予定されています。
- カテゴリ:AI × ブロックチェーン
- 対応チェーン:Ethereumほか(マルチチェーン対応)
- 時価総額:約4,500万ドル
- 上場状況:Binance未上場(DEX中心)
1kxやTioga Capitalらから資金調達済み。SiliconANGLEでは「AIの主導権をユーザーに戻す技術」として注目されています。ただし、実用化までの技術ハードルやFetch.aiなどとの競争が課題です。
NFT系 注目プロジェクト
NFTPerp

NFTPerpは、NFTに対してパーペチュアル(無期限)先物取引を提供するプラットフォームです。ベースはArbitrum上で、Blurなどのフロア価格をオラクルとして参照しています。
- カテゴリ:NFT × デリバティブ
- 対応チェーン:Arbitrum
- 時価総額:約800万ドル
- 上場状況:Binance未上場
NFT市場が低迷する中でも、「ショートができるNFT」として注目。DeFiユーザー向けの新たな使い道として期待されている一方、NFTの価格操作やオラクル精度にはリスクもあります。
RWA(実世界資産)系 注目プロジェクト
Untangled Finance

Untangled Financeは、アフリカ・東南アジアの未銀行層に向けた債権のトークン化に特化したRWAプロジェクト。Celoチェーン上で展開し、クラウドファンディング的に融資に参加できる仕組みを提供しています。
- カテゴリ:RWA × 金融包摂
- 対応チェーン:Celo(EVM互換)
- 時価総額:非公開(初期段階)
- 上場状況:トークン未発行(2025年発行予定)
IMFレポートやWorld Economic Forumで言及されるなど、社会的インパクトが高く評価されています。現地との実務連携が進んでいる点がユニークですが、収益モデルや法規制の壁が課題です。
SocialFi系 注目プロジェクト
Farcaster
Farcasterは、Ethereum上に構築された分散型SNSプロトコル。TwitterのようなUIを持つ「Warpcast」を通じて実際の投稿・フォロー・収益化が可能です。
- カテゴリ:SocialFi
- 対応チェーン:Ethereum(Optimism L2)
- 時価総額:非公開(トークン未発行)
- 上場状況:トークンなし
a16zやCoinbase Venturesが初期から出資しており、開発者向けAPIが充実。X(旧Twitter)からの移住ユーザーも急増中ですが、スパム対策や独自経済圏の設計にまだ課題があります。
ZK(ゼロ知識証明)系 注目プロジェクト
Succinct

Succinctは、複数チェーンにまたがるZKベースの「軽量バリデータ(Light Client)」を構築するミドルウェアプロジェクト。ZK証明を使って信頼できるクロスチェーン通信を実現します。
- カテゴリ:ZK × Interoperability
- 対応チェーン:Ethereum, Celestia 他
- 時価総額:未公開(シード期)
- 上場状況:トークン未発行
Polychain CapitalやZKValidatorが出資。ZK系L1ではなく、ZKを使ったミドルレイヤーという点がユニーク。ZK構築の難しさとプロダクト未成熟が主な課題です。
Modular Blockchain系 注目プロジェクト
Movement Labs

Movement Labsは、「Move言語 × モジュラー構造」を採用したL1プロジェクト。Celestiaとの連携でデータ可用性(DA)を分離し、拡張性と安全性を両立させる構成になっています。
- カテゴリ:モジュラーL1
- 対応チェーン:Celestia / Eigenlayer 連携
- 時価総額:未発行
- 上場状況:トークン未発行(2025年予定)
Framework Venturesなどから大型調達を完了。SuiやAptosとの差別化は「安全なMove VM」と「セパレート型アーキテクチャ」。開発者向けツールが今後の成否を左右します。
データインフラ系 注目プロジェクト
RedStone

RedStoneは、従来型とは異なる「プッシュ型オラクル」の仕組みを導入した分散型データプロバイダです。データはArweaveに保存され、必要な時にのみ読み込まれる仕組みが特徴。
- カテゴリ:オラクル / データプロバイダ
- 対応チェーン:EVM互換全般
- 時価総額:1,000万ドル前後(推定)
- 上場状況:Binance未上場
Chainlinkとの違いは「コスト削減」「任意データ対応」「マルチチェーン軽量設計」。Pendleなどと連携が進む一方、大手プロトコルでの導入実績が少ない点がネックです。
まとめ

今回は、まだ一般にあまり知られていないにもかかわらず、高いポテンシャルを持つ仮想通貨プロジェクトをジャンル別に紹介しました。
どのプロジェクトも「技術・思想・成長戦略」において独自性があり、投資対象としても技術研究対象としても非常に面白い存在です。
注目プロジェクト 一覧表
プロジェクト名 | ジャンル | チェーン | 時価総額 | トークン状況 |
---|---|---|---|---|
Modulus Labs | AI × ZK | Ethereum | 未発行 | 未上場 |
AI Arena | AI × Gaming | Arbitrum | 未発行 | 未上場 |
IPOR | DeFi × 債券 | Ethereum | 約1,000万ドル | 未上場 |
Retro | DeFi × DEX | Base | 約600万ドル | 未上場 |
NFTPerp | NFT × デリバティブ | Arbitrum | 約800万ドル | 未上場 |
Untangled Finance | RWA × 債権 | Celo | 未発行 | 未上場 |
Farcaster | SocialFi | Optimism | 未発行 | 未上場 |
Succinct | ZK × Interop | Ethereum | 未発行 | 未上場 |
Movement Labs | モジュラーL1 | Celestia | 未発行 | 未上場 |
RedStone | オラクル | EVM全般 | 約1,000万ドル | 未上場 |
上場していないプロジェクトも多く、初期フェーズから注目しておくことで、今後の成長にいち早く乗るチャンスがあるかもしれません。
あくまで投資判断は自己責任ですが、「技術」「時代背景」「競合との違い」に注目すれば、仮想通貨の未来を少し先取りできるはずです。